“対岸の火事”ではない中国大気汚染。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【40×40】河添恵子 






“世界で最も大気汚染が深刻な国”となった中国。これまで日本は巨額の環境ODAを中国に援助してきたはずだが、環境対策はズサンの一言。「工場やボイラーの煙突に、日本が技術援助をした脱硫装置を設置していても、コスト削減などを理由に稼働率が低い」とかで、二酸化硫黄が垂れ流し状態に…。マイカー激増も、大気汚染に追い打ちをかける。

 オゾン、霧・スモッグ汚染を特徴とする複合型汚染により、中国の大都市や工場の集積地で、近年「数十メートル先がかすんで見えない」状況は日常茶飯だし、健康被害も続々と報告されている。昨年11月、北京市衛生局が「同市の肺がん発症率は過去10年で6割近く増加、がん患者の5人に1人が肺がん」と公にし、中国科学院大気物理研究所の関係者もテレビで「北京などで、発がん性のあるPAHs(多環芳香族炭化水素)の数値が先進国の十数倍から二十数倍」と警鐘を鳴らしている。

 日本にとっても“対岸の火事”ではない。偏西風に乗って黄砂が飛散する春先の「空気」はとりわけ要注意だ。しかも、その範囲は九州をはじめ中国・四国・近畿にかけた西日本のみならず、中部地方から関東甲信越の一部までと広い。また、雨は酸性雨となって大地に降り注ぐ。