首長が決断を下すときだ。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【主張】がれき広域処理





東日本大震災で出たがれきの広域処理に、ようやく動きが見えてきた。この機に全国の首長は住民を説得し、受け入れを決断すべきである。

 野田佳彦首相は、3月11日の会見で、広域処理について「震災時に助け合った日本人の気高い精神、国民性が再び試されている」と語り、法律を根拠に都道府県に震災がれきの受け入れに協力を求めた。

 同日朝、細野豪志環境相はフジテレビ系列の報道番組で、科学的に安全が証明されているがれきの受け入れ拒否に対し、「被災地の切り捨て」と言い切った。

 13日には、細野環境相が関係閣僚会合で、被災地以外の受け入れを表明していない自治体を対象に、広域処理への協力を週内に文書で正式要請すると表明した。災害廃棄物処理特別措置法に基づいた措置だ。

 津波に襲われた被災地の町々には、がれきの山がそびえている。岩手、宮城、福島3県で発生した2250万トン以上のがれきのうち、処分済みは6%台にとどまっている。

 震災から1年を経ての現実だ。がれきの処理なしに、復旧や復興はあり得ない。特措法は昨年8月に成立していながら、やっと正式要請にこぎつける。政府の腰の上げ方はあまりに遅いが、この機をとらえるべきだ。

FNNが今月上旬、首都圏の500人に実施した世論調査では、自分が住む自治体でがれきを受け入れることに77・8%の人が「賛成」と答えていた。全国的な傾向もそうではないか。

 政府の動きに呼応するように、北九州市議会は12日、がれきの受け入れを市に要請する決議を全会一致で可決した。

 岩手県の震災がれき受け入れ準備を進める静岡県島田市は、試験焼却による放射性物質の検査で安全を確認した。近く受け入れを正式に表明する。

 北九州市でも島田市でも、一部住民は批判している。しかし、島田市の桜井勝郎市長は「どんな反対があっても、自治体トップは腹をくくって受け入れるべきだ」と本紙の取材に語っていた。

 米紙ワシントン・ポストは自治体のがれき拒否問題に触れ、「日本の絆の精神は色あせた」と書いた。がれきを目の前に暮らす被災地の人々の胸にも、同じ思いがあるのではないか。