無能な政治家を仕分ける。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【from Editor】





民間の有識者でつくる「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」(委員長・北沢宏一前科学技術振興機構理事長)は2月27日、東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故の調査報告書を発表した。その内容は日本のリーダーのあり方を考える上でも、きわめて示唆に富むものだった。

 報告書は、原発事故発生後の菅直人首相と彼を取り巻く人々の様子を活写している。この中で、菅首相のリーダーとしての行為については、「強い自己主張」(報告書)が効果的に作用した面もあるとしながらも、「首相の強い態度を前に(中略)本心では菅首相の判断に異論がありつつも、強く反対することを躊躇(ちゅうちょ)していた様子もうかがわれる」と負の側面に言及。結論として、「専門知識・経験を欠いた少数の政治家が中心となり、次々と展開する危機に場当たり的な対応を続けた。(中略)稚拙で泥縄的な危機管理であった」と批判している。

 本紙は今年の元日から企画記事「ザ・リーダー」の連載を開始している。日本にとってのリーダーとは何なのか、どんな人物がふさわしいのかを探求する内容だ。

大震災から1年、国民の政治家に対する視線は変化した。復興や原発対策に手間取る国会の旧態依然の姿が既成政党への失望感を増幅し、国民は新しいものを求めている。そんな中、橋下徹大阪市長への期待感は高い。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2月中旬に実施した世論調査では、橋下氏の国政進出に期待するとの回答が6割を超えた。人気の原因は、既成の政治家への不信感と日本の閉塞(へいそく)状況を打開してくれそうだという突破力への期待にあるのだろう。たしかに橋下氏のリーダーシップの強さは、多くの人が認めるところだ。

 ただ、強力なリーダーが判断を誤り、間違った方向へと走り出した場合、誰にも止められず悲惨な結果がもたらされる。それは、民間事故調の報告書が示している通りだ。無能な人が活発に動くことほど恐ろしいことはない。逆に有能な人が力を発揮できないことほど不幸なことはない。橋下氏が無能だと言っているのではない。国民一人一人が無能な政治家と有能な政治家を慎重に仕分けなければならないと言いたいのだ。

 大震災は、日本の危機管理体制の課題を指摘してくれただけでなく、政治家の質を問うている。それは政治家だけでなく国民全員が考えるべき問題である。

                               (政治部長 五嶋清)