日本も防衛予算の増強を。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









【主張】中国の国防費





中国の国防費が米ドル換算で初めて1千億ドルの大台に乗り、日本の防衛関係費(来年度4兆7138億円)の1・8倍に膨張した。

 全国人民代表大会(全人代)の李肇星報道官が公表した2012年度国防予算案は、前年度実績比11・2%増の6702億元(1064億ドル)に上る。過去23年で10年度以外は常に2桁増のすさまじい増強だ。

 「平和的台頭」とは裏腹に、突出した軍拡は力ずくの海洋権益拡大と併せて地域や世界の懸念を強めている。米国も新国防戦略の下で本格的な備えに入り、東南アジアでも国防費増強が目立つのが近年の顕著な傾向だ。

 にもかかわらず、尖閣諸島などを抱える日本だけが10年連続で防衛費を減少させているのは異様である。野田佳彦政権は中国に一層の透明性を求めるだけでなく、日米同盟の強化を進め、脅威の増大に自らの備えを急ぐべきだ。

 中国の国防費の2桁増は1989年からだ。07年度には日本を抜き、その差が急速に拡大している現状を直視する必要がある。

 初の国産ステルス戦闘機開発や2兆円近くを投入した空母建造計画に加え、米軍の接近阻止を狙った対艦弾道ミサイル(ASBM)や宇宙・サイバー空間の攻撃能力も増強中だ。しかも、これらの研究開発費は公表額に含まれず、米国防総省は「その1・5~3倍」を実際の国防費とみている。

李報道官は「数字は透明で、他国の脅威にならない」と強調したが、内容をみる限り、南シナ海、東シナ海を含む西太平洋地域へ海・空両面で力による進出を図り、長期的かつ独占的に領域支配を狙う海洋覇権戦略とみるべきだ。

 とりわけ日本が警戒すべきは、尖閣諸島を含む東シナ海だ。

 一昨年秋の漁船衝突事件後も中国は監視船などが日本の排他的経済水域(EEZ)内での海上保安庁船の調査中止を求め、中国軍機の領空接近に対する航空自衛隊のスクランブル(緊急発進)回数も急増している。

 尖閣周辺の無人島に対する日本政府の命名に対抗し、中国政府が3日、独自に71島を命名した措置も到底看過できない。

 日本固有の領土である尖閣諸島の防衛や海洋の主権的権利にもかかわる重大な問題だ。首相は国家の安全と主権を守るために必要な防衛費を確保してもらいたい。