海保の権限強化法案 尖閣の陸地でも捜査権
政府は28日、海上保安庁による海上警察権を強化するため、海上保安庁法と領海等外国船舶航行法の一部を改正する法案を閣議決定し、国会に提出した。国境の離島での不法上陸などに対し、海上保安官が警察官に代わり陸上で捜査・逮捕できる規定を盛り込んだ。
対象の離島は法案成立後に海保と警察庁が協議して指定するが、尖閣諸島(沖縄県)や沖ノ鳥島(東京都)、南鳥島(同)などが指定される見通しだ。
法案では、天候悪化などやむを得ない理由がないのに領海内で停泊するなどした外国船について、現行法で必要な立ち入り検査を省略して是正を勧告し、退去を命令できると規定。
海上保安官による任意の「質問権」の対象者を、従来の船舶所有者らに加え、治安確保上、重要な事項を知っているとみられる陸上の関係者まで拡大する。
政府は平成22年9月の尖閣の中国漁船衝突事件を契機に法改正に着手。その後も、中国の漁業監視船や海洋調査船が領海などに侵入する事案が相次いでいる。
藤村修官房長官は記者会見で、「わが国周辺海域の情勢の変化に対応し、海保が担う業務を的確に遂行するための法案だ」と述べた。