ご負担の軽減策を真剣に。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【主張】陛下の手術終了






 天皇陛下は東大病院で心臓の冠動脈バイパス手術を受けられた。手術は順調に終了し、陛下は集中治療室(ICU)に移られた。医師団によると術後の経過も安定している。一日も早いご回復を改めて祈りたい。

 陛下は平成15年1月にも前立腺がんの手術を受け、昨年11月には肺炎で入院された。ご負担軽減は待ったなしの課題である。

 宮内庁は平成21年1月、全国植樹祭などでのお言葉を取りやめ、新嘗(にいなめ)祭などの宮中祭祀(さいし)も時間を限って出席されるなどの軽減策を打ち出した。だが、昨年12月の78歳の誕生日に合わせて発表された1年間の陛下のお仕事は依然、土曜も日曜もない忙しさである。

 内閣から回ってくる文書の署名・押印は957件にのぼり、国務大臣ら109人の認証官の任命式や34人の新任外国大使の信任状捧呈(ほうてい)式に臨まれた。21回の宮中祭祀に加え、東京都内や近郊へのご訪問は37回、公的な地方ご訪問は12道県に及んだ。

 とりわけ、昨年3月の東日本大震災以降、7週連続で宮城県などの被災地や首都圏の避難所を皇后陛下とともに訪問され、例年にないハードな1年を送られた。

今年も、術前の検査入院などの合間を縫って、講書始の儀、歌会始の儀、新大臣や最高裁判事の認証官任命式、リハビリ施設のご訪問、国立がん研究センター創立50周年記念式典へのご臨席などのご公務に追われた。

 陛下の責任感の強さの表れと受け止めたいが、それがかえって過重なご負担になるのではないかと心配である。

 手術後も、3月11日に東京で開かれる政府主催の東日本大震災1年の追悼式へのご出席など、重要なご公務が予定されている。

 宮内庁は「医師の意見を聞き、両陛下にご相談して(ご負担軽減への)対応を決める」(風岡典之次長)と説明している。陛下のお仕事の中で、他の皇族方が分担できるものを精査し、少しでも陛下のご負担を減らしたい。

 そのために、皇族の減少を食い止める方策も急務だ。まもなく、女性皇族が結婚しても皇族の身分を維持できる「女性宮家」創設に関する有識者からのヒアリングが始まる。さらに、野田佳彦首相が先の衆院予算委員会で表明した旧皇族の皇籍復帰も含めた幅広い検討を重ねて求めたい。