【都道府県 伝統の教え】富山県
■魚津市の小学校が20年
富山県魚津市を流れる鴨川。川底から透き通った伏流水がわきだす清流を間近に抱える市内全ての13小学校の児童が、川のゴミ拾いなどの清掃活動に精を出す。サケの稚魚の放流活動も清掃とともに20年以上にわたって続けている。
活動が始まったのは昭和62年。当時、生活排水などで、とても汚れた川だった鴨川の清掃活動をPTAなどで始めたのがきっかけだった。
当初2校で始めた取り組みも参加校は徐々に拡大。全校で行われるようになり、サケの放流も行われるようになった。
サケの魚卵を県が11月ごろ学校に無償で提供。多くの学校では4年生や5年生が中心になり、魚卵を孵化(ふか)させなければならない。子供たちは難しいとされる水温の適切な管理に悪戦苦闘しながらも稚魚の誕生を心待ちにする。教師は子供たちの努力が成就するようサポート役に徹する。水族館での研修に出向くなどして、裏方で見守るのだ。
魚卵の孵化後は、水換えや餌やりなどを続け、春が近づく3月ごろまで大きく育てる。川で生きていけるくらいになった稚魚は晴れて鴨川に放つが、子供たちは再び帰ってくるようみんなで願いをこめながら“荒波”へと送り出すという。これまでの活動で、鴨川に回帰したサケは180匹にものぼるという。