博打を“物凄い勢い”で奨励する産経・高橋昌之。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





夕刻の備忘録 様のブログより。




先日の沖縄での「オフレコ問題」に対する産経の記事の酷さは、目を覆うばかりであった。特権意識の極めて露骨なものであったが、今やゴミと略称される彼等にとっては「特権無意識」のようである。

人間が酷いから、記事が酷いのであって、酷い人間が書けば、どんなテーマでも酷くなる。しかし、加えてテーマ自体が酷ければ、想像を絶する不快感を読者にもたらす。今回の記事は産経新聞記者が、「自らの能力の全て」を賭けて、日本国民に博打を勧めている。実におぞましいものである。

空っぽの記事を全文引用するのも、ネット資源の無駄なので、部分的に取り出すが、御不審の方は、元記事を読んで頂きたい。「時間を無駄にしたなあ」と後悔されるであろうことは保証する。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111218/stt11121812010001-n1.htm

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先ずタイトルからしてふるっている。
『日本のカジノ合法化は急務、
悪いのは井川容疑者でカジノではない』

以下、書き出し部分を要約すると:

●この事件によってカジノに悪印象を持たれたのではないか。
●ギャンブルは自己責任。
●生活に困る金を賭ける人は、ギャンブルをする資格がない。

といった毒にも薬にもならぬ言葉が、延々と書いてある。そして

『カジノは現在、120カ国以上で合法化されおり、私は日本でカジノが合法化されていないことの方が、国際的に異常だと思っています。最近はとくに日本周辺のアジア各国がカジノで外国人観光客の誘致に成功し、経済成長にもつなげており、観光立国という観点から、日本でもカジノを合法化すべきだと考えていますので、今回はこれをテーマに書きたいと思います』

と続くのである。完全にアホである。

博打に好印象を持てという。真面目に働き、真面目に納税し、真面目に家族と生活していれば、博打などに興味を持つ暇は無いのである。「金を賭けて金が返ってくる」というシステムそのものが問題なのだ。競馬にしろ競輪にしろ、宝籤にしろ、こうした行為を嫌う人は多い。当り前の話である。

金を賭けて金が返る。
誰の手元に返るのか。
競馬で儲けたければ馬主になれという。
即ち、結局は胴元しか儲からないのである。

この金銭収支は、実は本質を突いている。
儲かるからやる、損をするからやらない、という話ではない。
博打は、本人が遊んでいるつもりで、「遊ばれている」のである。

ここに本質がある。自分が人間としてではなく、単なる「歩く財布」として扱われているのである。時間と金を費やして、自分の人生の貴重な一部を、見ず知らずの誰かに委ねて「遊ばれている」のである。

この記者は、留学中にカジノに通ったと得意気に書いている。おそらくは会社の費用で留学したのであろうが、ふざけた話である。

学ぶことは大量にあり、時間は僅かしかなく、派遣された以上は全精力をあげて留学先の文化を吸収するのが、その目的であろうに、それが「カジノ界隈の事情調査」でお茶を濁しているとしたら、その会社は、人事採用の「ギャンブルで負けた」、実に運のない会社だといえよう。

記者は、彼の地で指南を受け、生活に困らない金額までに限定するのがコツだと教えられた。そして、その金額は本人曰く「二万円だった」そうである。

これが二言目には「庶民感覚が……」と政治家を批判しているマスコミの「庶民感覚」である。しかも前段で『井川容疑者は90億円以上というわれわれ庶民には信じられない額をカジノで使うようになった』と御丁寧に常套句のサービスをしてくれているのである。二万円あればビックマックが百個食えるのである。牛丼なら八十食分である。90億に驚く庶民様は二万円程度ではビクともしないのである。

庶民知らずの庶民気取り。

こうした矛盾をさらけ出さない限り、新聞記者は務まらないのであろう。日本でカジノがないことが異常だという。ならばカジノのある国に行けばいい。そんなに大切な、人生の大事なら再び留学して戻らねばいい。支局長の肩書きがあれば、今度は五万円くらいは使えるのではないか。

『カジノを中心とした複合リゾートを設置することによって、外国人観光客の誘致や地域振興という効果が期待できますが、財政再建や復興推進にも寄与することになるのです』。

ここまで来るとヤクザ映画の定番台詞のようなものである。静かな田舎町に「レジャーセンター」なるものを作るといって、男達が乗り込んでくる。その時の台詞はいつも決まっている。「地元の景気がよくなる、雇用が生まれる、俺達が儲けさせてやる」である。

しかも、カジノのマイナス面を認めた上で、そこから議論が出ないのが気に入らないといいうのである。曰く『日本もカジノのマイナス面ばかりを気にした議論をしていないで、マイナス面を防止して、いかにカジノによる観光立国を果たすかというプラス思考での議論を一日も早く行うべきです』と書いている。


そして最後のまとめが、また凄まじい。

『来年の通常国会も、衆参ねじれ現象で平成24年度予算の関連法案や、野田佳彦首相が目指す消費税増税法案をめぐって、緊迫化が予想されます。このため、カジノ法案の提出、審議がまた先送りされてしまう可能性があります。しかし、カジノ合法化による観光立国は、国際情勢をみれば待ったなしです。共産、社民両党以外の与野党がカジノ議連に参加していることを考えると、カジノ法案は提出されれば、おそらく成立します。議連は何としても来年の通常国会には法案を提出し、成立をはかるべきだと思います』

この記者の発想では、消費税や他の重要案件はカジノ合法化の足枷であり、そんなことより先ずはカジノ。共産社民も賛成しているカジノ、世界の潮流に乗り遅れないためにはカジノ、観光立国、震災復興、何でもかんでもカジノが解決すると言わんばかりである。

シンガポールがどうしたこうした、マカオがどうしたと五月蠅い限りである。彼等が国家を挙げて取組み、巨大な利益をあげている、そこに日本も参戦せよ、というのである。そして『国際情勢をみれば待ったなし』などと、まるで千年の大計を議論するかの如き口吻でボルテージを上げてみせる。

ところで、カジノで儲けている国があって、そこに後発の国が「俺達にも儲けさせてもらうぞ」と乗り込んでいけば、どうなると思っているのだろうか。明らかに彼等の収入は減るのである。何事につけても安全・安心が売物である我が国が、この面でも参加すれば、確かに大金を博打ですりたい大物、馬鹿者は日本に流れてくるだろう。

それは「所場荒らし」そのものではないか。
昔から、「所場荒らしには血の雨が降る」と決まっている。

日本がカジノで成功すれば、確実に治安は悪くなる。治安がよくて、カジノが盛況では、困る国が出て来るからである。困る勢力が出て来るからである。彼等は合法的にも非合法的にも裏工作に走るであろう。それが治安を悪化させる。日本の治安が悪くならなければ、困る連中が出て来るということである。

何故、我が国にカジノが存在しないのか。
何故、存在しなかったのか。
その意味を真面目に考えねばならない。
競輪、競馬があるからカジノもあっていいという話にはならない。
「パチンコ潰し」の為にカジノを作るというのも本末転倒である。

こんな与太記事で給料が貰えているのだから、もう充分「人生の賭け」には勝っているではないか。所詮は運だけでここまで来たのだから、元金を割り込むまえに退場するのがギャンブルのコツであると指南しておく。