国挙げて妨害を阻止せよ。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









【主張】シー・シェパード 





 米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)を相手取り、日本鯨類研究所など日本の調査捕鯨を担う2団体が、船団への過激な妨害行為を差し止めるよう求めた訴訟を米ワシントン州の連邦地裁に起こした。

 クジラ愛護に名を借りた明らかなテロ行為ともいえるSSの暴力には、反捕鯨国や環境保護団体からも厳しい批判の声が上がっている。高速艇による体当たりや劇薬投げ込みなどは、乗員の生命にもかかわる。提訴は当然である。

 鹿野道彦農水相は今回の提訴について、政府としても注視する姿勢を明らかにしているが、民間任せの対応で済ますことは許されない。国を挙げて支援する姿勢を改めて明確にすべきだ。

 SSの妨害は2005年ごろから始まり、年を追うごとに執拗(しつよう)かつ過激化している。これを英雄視する米TV番組の影響もあって、潤沢な資金が集まるようになり、活動を勢いづかせている。

 船団の位置をいち早く捕捉する最新機器を備え、発光弾や発煙筒を直接、乗組員の身体を狙って投げるなど妨害行為もエスカレートしている。昨シーズンは1カ月近くも予定を切り上げて調査を中止せざるを得なかった。

 提訴の背景として、同じSSの妨害行為の被害者であるマルタのクロマグロ養殖業者が、英国での損害賠償訴訟で全面勝訴したことが大きいという。英国は反捕鯨国だが、判決を受けてSS船の出港差し止め措置も実施している。

 SSが本拠を置き、同じ反捕鯨国である米国での提訴は日本に不利だとの見方もある。一方で、英国の判断を無視はできまいとの読みも聞かれる。国際ルールに基づく適切な司法判断を望むとともに、日本政府はSSの悪質さを広く国際社会に発信すべきだ。

 SSの妨害排除に向けた法的整備も急がれる。ソマリア沖の海賊船対策として一昨年に施行された海賊対処法が、SSを対象外としたことも、無法行為を許す理由の一つになっている。

 外務省を中心に「海賊とは解釈できない」との慎重論があるというが、日本の調査捕鯨は国際条約に基づく合法的活動だ。

 クジラの生息状況を調べる地球規模の大切な意義もあり、今回から水産庁の調査船も同行する。それが無法行為で阻止される状況はやはり異常としかいえない。