★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2011.12.05-2) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







草莽崛起:皇国興廃此一戦在各員奮励努力セヨ。 





◆生存している拉致被害者を北が返したら、日本は北と国交正常化できるのか

 1978年のアベック失踪事件の前には拉致は存在しなかったのか。私は、明らかに存在したと思います。北の南に対する、あるいは外国に対する色々なことを見れば、その前にも当然やっていると思います。そういうことをなぜ発表できないのか。

 3.11東日本大震災で今も行方不明の方々、犠牲者の数は多分最終的には18,500人から19,000人の間ではないかと推測されますが、全国の自衛隊、警察、消防の方々が本当に一生懸命行方不明者を捜索しています。私は、なぜ日本政府は、この大震災の救助、捜索のために頑張った自衛隊、警察、消防を表彰しないのかと思います。

 千年に一度の大震災だったら、そのために国の役人として一生懸命やる人には参加したすべての人に、その名誉を称えて、何かをやるべきではないかと思います。サッカーチームにだけそんなことをやるのか、と思います。国と国民が、自衛隊、警察、消防に対して当然敬意を表すべきだと思います。日本では長く慣れていますから当然かもしれませんが、外から見れば、拉致問題同様、どうしてもそれは違うという思いがします。

 先ほどの辛光洙の話ですが、原敕晁さんが拉致されたことがそこまで明白に証明されたのに、実は日本政府はその時(北に対して)制裁措置を取りませんでした。私は絶対取るべきだったと思います。向こうに日本の意思を伝える外交チャネルがないからできないとか、そういうのが説明になるのかという気がします。外から見ればですが。

 アメリカはずっと戦争をしてきた国ですね。強大国はほとんど戦争をするようになっているんですが、アメリカはたくさんの戦争をしていますので、戦争で失踪した人を徹底的に探します。戦場で明らかに死んだのに、骨を捜すんです。50年経っても、60年経っても。だから平壌に行って北にお金を払って骨を買ってくるんです。これがアメリカ人のものらしいと言われると、ですね。そこまで徹底しています。私は日本の能力から見て、そういうことが十分できる筈だと思います。

 カダフィーも死んだし、次はいよいよ金正日の番だという話もありますが、金正日は核兵器をもって物理的に抵抗しています。最近、「金正恩大将の偉大性に関する教養資料」というのが出ています。たいしたものではないですが、三代目の将軍がいかに偉い将軍なのかということを、北が幹部や住民に強要する資料を偶然見たことがあります。

 彼らは、スターリン死後、フルシチョフがスターリン格下げ運動をしたのは絶対間違いでけしからん等と言っています。つまり今、北の姿勢は「金正恩大将の偉大性に関する教養資料」を見るだけでも、十分分かります。

 日本では金正日暴圧体制に対して色々な意見がありますが、では「生存」している拉致被害者を仮に北が返したら、日本は北と国交正常化ができますか。今日はブレーンストーミングをすると言いましたが、生存者を奪還するための制裁措置というのは、そういう意味では相当矛盾するような気がします。

 先ほど、冷戦の犠牲者、そして加害者は全体主義独裁、国家権力と言ったのですが、日本では多くの方が冷戦は戦争とは違うと考えています。しかし、冷戦こそ本当の戦争です。米ソが核兵器を何万発も持っていましたが、それが使えないので、核兵器を使わない戦争をやったのが冷戦だったわけです。だからより賢い、より断固たる戦略が必要だったのが冷戦でした。

 日本は平和国家ですから戦争はしない。しないのはいいですが、冷戦まであきらめたのか。多分、冷戦にも巻き込まれたくないという世論の所為だったと思いますが、冷戦も戦争です。戦争というのは敵を敗退させるかこちらが負けるか敵と和解することで終わります。その中間はありません。戦争は、敵を敗退させて決着をつけるか、和解して平和を取戻すか、それとも戦争を続けるかしかありません。そして戦争で先に疲れた顔をする方が負けです。

 私は先ほど、日本はこの戦争の目標が何なのかと言いました。敵を敗退させるのか、和解するのか、何が目標なのか。冷戦をやらないのなら目標も何もない。向こうは仕掛けてきても何も対応しないから一方的にやられるという状況です。やるのであれば、目標をはっきり認識しなければならないと思います。

 ヨーロッパでは一応、東西冷戦は終わりました。その後20年、アジアではまだ冷戦が続いています。中国はもちろん「東西冷戦」も戦い、その後も戦い続けています。冷戦の戦い方に対して、自由民主主義陣営の日本が考えていないのに、中国だけがますます冷戦の戦い方を進化させたら、困るのは自由陣営ではないか。論理的にそういう思いがします。

◆日本も未来型のスマートな戦争ができる筈

 アメリカは、アメリカより核弾頭数が2倍のソ連を冷戦で敗退させました。韓国ではよく、北が核を持つと韓国は何もできないという話があるのですが、私は、アメリカは核兵器を数万発持ったソ連を敗退させたのだから、たかが何発か持っている北の金正日をどうして敗退させられないの、と言っています。

 東西冷戦でアメリカがソ連を敗退させたのは実はレーガン大統領の戦略によるものです。レーガン大統領が在任中は、アメリカの知識人はほとんどレーガン大統領を馬鹿にしました。「三流俳優」だとか。敵がアメリカの大統領をさげすんだのではなく、アメリカのリベラル、いわゆるアメリカの「知性」、アメリカのメディア、アメリカの映画監督などが「三流俳優」云々と言ったのです。

 しかし結局、ソ連を敗退させて、共産主義70年を終息させたのはレーガン大統領でした。レーガン大統領の戦略は、善と悪の戦いという、ものすごく単純な戦略でした。レーガン大統領が動員したのも、アメリカは大統領中心制の国ですから、アメリカの全戦力とか大きな声を出さずに、ホワイトハウスに対ソ戦略を
遂行する核心的スタッフを集めて、大統領の権限を持って集中的にやりました。
 

アメリカは東西冷戦とそして東西冷戦後も色々な戦争を通じて、戦争をやる度に進化します。やはり覇権大国ですね。戦略、戦術、装備、軍事以外の色々なことまでです。大統領中心制一番似ている国は韓国ですが、ローマ皇帝よりも強い権限を持った韓国大統領が敵に振り回されるのは情けないことです。

 我々がハリウッド映画を見れば想像力がすごいですね。アメリカは彼らの想像力を現実のものにして、他の国が真似できないような戦争の仕方を開発してきました。

 リビアのカダフィが殺されました。よくは分からないんですが、報道等を見るとアメリカの戦争の仕方がどんなものなのかということが、うすうす分かるような気がします。舞台がアラブですから、そこで反米の声が出ないようにアメリカは戦闘の前面には出ない。しかし、アメリカの情報力なしに同盟国は戦闘ができません。NATOの空爆など、色々なことがアメリカの情報に基づいて行われたと思います。

 2002年に、日韓がワールドカップでサッカーを共催した時、私も大会を支援するための機関へちょっと出向したことがありますが、当時、多分日本もそうだったと思いますが、例えば、テロ対策上警戒すべき危険な要素に関する人物や多くの情報は、正直に言ってアメリカの能力でした。そういう次元の戦いが世界的にできるのがアメリカだけです。

 国力は軍事力だけでありません。アメリカは今後10年間で国防費を何千億ドルかを減らすわけですが、他方、今日も報道されましたが、アメリカはオーストラリアに海兵隊を駐留させ、東南アジアの海の航行の自由を守ろうとしている。そういうことを見れば、彼らは予算が減っても、重要なところはちゃんと押さえる。予算がなければ、より経済的な戦争の仕方を工夫します。

 私は、アメリカが経済的な戦争をどのようにするのかは、アメリカの同盟国も関心を持って見るべきではないかと思います。

 アメリカは今、スーパーコンピュータを用いての情報力を持っています。そういうすごい情報戦争ができるインフラをすでに持っているのです。だからワシントンで地球の反対側の無人攻撃機を操縦してテロリストを除去するようなことができるようになったのですが、他の国はまねができません。

 アメリカはそのために厖大な投資をしました。これは未来に向けて総合的に必要な抑止力も持つことだと思います。ある方は、日本が憲法さえ改正したら、日本も相当「乱暴な」ことができるとおっしゃいますが、本当は、日本も大規模の在来戦力にばかり頼らなくても、「スマートな安全保障」ができる筈です。

 私は、拉致問題のためのインフラを作る過程で、日本も未来型のスマートな安全保障ができると推測しています。日本の誰がそういう戦略を決めるのかは分かりませんが。

 以前から韓国では、日本人のよさは、恥を知り絶対に恥をかくようなことをやらない、迷惑はかけないことだと思っています。これが日本が世界に誇る美徳だったのですが、最近はテレビの影響なのか言動の基準が段々変わるようです。テレビに始めて裸同然の女性が映ったら、これは大変なことでした。頻繁にそういうのが出るうちに、それが自然に一つの基準になるように、日本社会は外で期待していた日本ではないような側面が多く見られます。

 例えば、世界的に先進国共通の現象ですが、ばらまき政党に票を投じるとか。世の中は変わりましたからそれは仕方がないんですが、ばら撒きの結果がどうなるかは皆常識的に分かるのに、それを恥ずかしく思わず、政治家も堂々と主張して、そこに投票する。そういう有権者の投票行動は、韓国はもっとひどいのですが、我慢の限界というのがどこなのか、ということですね。

◆拉致に協力した勢力、拉致に利用されたインフラがなぜ許されるのか

 3.11大震災で非常に興味深かったのは、私は、何日くらい経つとテレビなどに広告が戻るのかということを関心を持って見ました。千年に一度の大災害でも、我慢の限界がどこなのか、と。やはりこれぐらいが人間の我慢の限界なのかという思いがしました。

 私はその時、「公益広告」にすごく失望しました。日本全国でテレビ、ラジオなど1日5千本近くの広告があると聞いたようですが、それを全部公益広告にして、これを事前のマニュアル通り、3つか4つだけの番組を延々と出しますね。あの貴重な電波資源を。私は官房長官があれこれ言うのは、実は公益広告の時間に国民に情報提供すればいいと思いました。

 日本ほどの先進国が、貴重な時間を使って、公益広告をこういう内容で延々と1か月も流すのか、本当にびっくりしました。昔、共産主義体制を馬鹿にする話の一つですが、モスクワや東ベルリンでは雨が降ってもスプリンクラーが回ったのです。毎日決まった時間には回すことになっていたからです。

 雨が降っても回した共産主義の官僚主義みたいに、あの貴重な広告の時間を、国民のための色々な情報提供に使うべきではなかったのか。多分、ここにいらっしゃる皆さんも間違いなくそう思われたと思います。常識のある人は全部そう思った筈です。それが最後まで是正されなかった。

 私は、「拉致問題」にもそういう側面があるのかなと思いました。先ほど家族会の方が、明らかな拉致の共犯たちをなぜ今も許しているのかと言われましたが、実は法治国家になるためには、法治や正義に大胆に挑戦した勢力は何らかの制裁を受けなければいけないと思います。

 現実に日本では、当局が組織暴力との戦争をしていますが、私は、組織暴力も、もちろん許せないんですが、拉致に協力した勢力、拉致に利用されたインフラがなぜ許されるのかと思います。結局、冷戦の戦い方が全く分かっていないと思います。

 拉致テロに協力した勢力は、政府や社会的な圧力をかわすため、「法治」を盾に使います。自由と安全を脅かす勢力を保護するのが法治なのか。日本を見ていると、自由民主主義社会を馬鹿に思うようにしたのではないかと思います。

 最近メディアの報道によりますと、国会議員の方々が、日朝国交推進議員連盟で平壌に行く動きがあったということですが、その中には、北の人権問題や拉致問題と関係があった方々も含まれていて、本当に驚きました。こういう時、外の世界では、私のような人間はやっぱり日本は信じられないという話になってしまします。

 じゃあ今、平壌体制との「国交正常化」を進める有力者、政治家が平壌に行くというのは、明らかに金正恩への三代目を認めるという話になります。政治家としてそれも分からないのか、と。カダフィみたいに、いつ殺されてもおかしくないような、そういう体制の次の若僧の権力継承を認めるためにわざわざ行くという発想ですね。もしかしたら昔から言われてきたように利権と関わって、誰かが誘惑したのかも知れません。

 こういう動きを見るとき、全体主義、暴圧体制との冷戦というのが何を意味しているのか、少なくとも日朝議連の方々は全く分からないのか、それとも無視しているかなという思いがします。

 メディアの問題ですが、メディアはその国の文化ですから、私は深く分からないし触れませんが、ただ、おかしいのがあります。日本のメディアは、真実を追究するより、新しいファクトを求める。事前に決まった報道の仕組みがあるんですね。例えば、外国で飛行機の墜落事故があったら、日本人が乗っていたかどうかを最後に必ず言うとか、メディアの報道も一種のマニュアル化しているという思いがします。

 その上、メディアは談合しているように外からは見えます。そして、日本の文化は、日本的な美学をあまりにも強調して、本質と関係ないことを延々と報道する。精密性を求めるのはいいですが、例えば脱北者の誰が証言したとテレビに顔を出さないと信じないとか、またそういう人を探して出すために度の過ぎる競争をするとか。これはあまり役に立たないと思います。

 昔は、メディアの報道によって世論が形成されました。最近のメディアは、何処の国も同じですが、世論に迎合するような報道をするということもあります。実はこの前、カダフィが殺された時私は外国旅行中でした。それでホテルで寝る前に偶然その報道を見て、3時間くらい色々なチャンネルを回しながら見たのですが、そのホテルでNHKの国際報道と韓国KBSの国際放送がありましたが、重要な国のすべてのテレビがカダフィの情報を一生懸命伝えているのに、NHKとKBSの国際チャンネルはのんきな内容でした。字幕(テロップ)でもでるのかと見たのですがそれもなく、こんなに鈍感なのかと驚きました。

 あまりにもマニュアル中心になると、こういう冷戦は敵に利用される場合が多いと思いました。この前金正日が、中国やロシアに行く場面の報道も、解説がどうしてもおかしい。聞いて見ると、こういう可能性、ああいう可能性、こういう側面、ああいう側面とあらゆることを全部言ってはいるんですが、要するに何なのかという結論が曖昧です。メディアが作り出した、一種の「仮想現実」の中で我々は生きているんじゃないかという思いがしました。

◆韓国の若者は、2000万人の北の奴隷状況の人を解放させるべき

 韓国は今、途方もない戦争をしています。私は最近、20世紀に入る時世の中はどうだったのかという歴史書を読んでいますが、ヨーロッパの国々、特に知識人が間違った思想、風潮を拡大させたがために、余計に犠牲が大きくなり、そして2度の世界大戦に走ったのを痛感します。

 韓国は20世紀に2度の先進体制の移植を経験します。一つは日本が韓国を植民地にし、日本のシステムを韓国に移植します。1945年以降は、アメリカの自由民主主義的な価値やシステムが、日本が移植したシステムの上にもう一度移植されます。

 今韓国では、左翼が韓国に改めて左派的価値を移植しようとしています。全く言語道断と思われますが、有権者が全く勉強せず、左翼が支配するテレビや携帯ばかり見て、悪魔に踊らされて間違った投票をすると、そうなります。

 最近、昔盧武鉉が大統領になったような、そういう人がソウル市長になりましたが、そういうことを経験しながら、我々が健全な自由民主主義を維持、発展させることは、本当に自然にできるものではないという思いもします。

 私は、今日、中高校生に話しました。歴史的に、アメリカでもっとも偉大な政治家の一人がエイブラハム・リンカーン。リンカーンは1865年に暗殺されます。日韓国交正常化のちょうど100年前です。彼が奴隷を解放しますが、彼が解放を宣言した黒人奴隷は400万人くらいだったと言われています。

 だから私は、韓国の若者は、2000万人の北の奴隷状況の同族を解放させるべきだと、それが歴史的な使命だと言いました。拉致救出運動はもはや日本において英雄的な戦いになったのです。今までの日本に無かった、今までの日本を変えるような、人間の自由と尊厳のためのすばらしい戦いを始めたわけですから、これは何人かの被害者が戻ってくるとか、あとから向こうの張本人に報復をするとかという次元ではなく、日本の歴史に残る英雄的な戦いになったと私は思います。

 この戦いは我々が仕掛けたのではなく、向こうが仕掛けてきた戦いですから、これは徹底的に勝つべきだと思います。私はこの拉致救出運動にはそういう側面があるということを局外者から申し上げます。以上です。


◆拉致被害者が3桁なのかどうかは分からない

【討論】


西岡 せっかくですから私からご質問したいことがあります。一つは、拉致被害の規模をどれくらいと見ていらっしゃるか。アベック拉致以前にも明確に拉致は存在したと言われましたが、韓国の拉致は置くとして、日本を初めとする外国人拉致について、例えば、日本人がいつ頃からいつ頃までの間に、何人くらい拉致されていると考えておられるでしょうか。

洪 分かりませんが、推測です。最近は5万円くらいの安いパソコンでもインターネットの検索ができますから、色々なことをやってみると、北は1965年頃から、本格的に外国に絡むテロ活動をやったことがわかります。冷戦の激化によって韓半島の冷戦も、1965年頃から戦場が次第に拡大して、韓半島冷戦の戦場が日本に拡大したり、ベトナムとか他の国に拡大されました。

 今後、平壌が解放されれば色々な資料が出てくるでしょうが。1965年は韓国軍がアメリカ軍と一緒にベトナムに参戦した時期ですが、それに触発されたのか、北が世界的に色々な事件などを起こします。例えば、中南米の国に軍事顧問団を送るとか、アフリカは彼らの「縄張り」で色々とやりました。向こうの人間を招待してテロの訓練をさせるとか、こういうことが1960年代の半ばに活発になったのが分かります。

 また、今知られている(北朝鮮に拉致された)12か国の他にも、拉致工作が当然あったと思います。日本に入国して逮捕されて有名になった金正男はドミニカ共和国のパスポートの正本を持っていたから、世界的なインフラがあったということです。そういうインフラには色々な目的で活用されます。

 それから金賢姫事件でも明らかになりますが、北は日本人のパスポートを大量に偽造します。インターネットでも分かるように、その一部はよど号拉致グループも北が偽造したパスポートをもって、北アフリカやヨーロッパに行っています。つまり、色々な所にインフラができていた。日本でも、それを支援するような人が、よど号の妻たちだけじゃなく、相当存在した形跡があります。これを当局が突き止めるのは、そんなに難しくないはずだと思います。

西岡 それで日本人は何人くらいでしょうか。

洪 それは本当に分かりませんが、聞いたところでは、彼らが日本のある技術が必要な場合技術者をむりやり連れていったとか、そういう乱暴なことを平気でやったのですから。しかし、それが3桁なのかどうかは分かりません。

◆責任を取らないためには「死んだ」ことにするのが一番

西岡 2002年に金正日が拉致を一部だけ認めた時、これは12月のセミナーのテーマにもしますが、明らかに生きているという人を死んだと言っています。嘘をつくには、嘘をつく動機があると思うんです。秘密を知られたくないというのが一般的に言われていることですが、あの時、日本政府が認定している人たちを返してしまえばかなりのものが取れたのに、なぜそれをしなかったのか。言い換えると、なぜ生きている人を死んでると言わざるをえなかったのか。彼らが公開したくない秘密は何なのか。どう思われますか。

洪 北からの脱北者は、今は2万2千人に達しますので、その重要性は昔より減っています。実は北に関する情報がものすごい蓄積されています。金正日はこれ以上知られたくないではないですか。北が一人を日本へ返したら、そこからまた何が出るのか分かりませんから。北の報道を見ますと、いつも、「こっちは分かっていますよ」と、報道されたことを土台にして説明を作ります。だから、たまには矛盾することが起きるのですが、要するに「死んだ」ことにしたら一番都合がいいから、向こうは責任を取りたくないので「死んだ」と。

 仮に誰かを返してあとから問題になったら、返した人は命取りです。責任を取らないためには「死んだ」ことにするのが一番です。私は、管理し、関係した者たちが「死んだ」ことにするのが一番安全だからそうしたと思います。

西岡 拉致に加担した人間に対する取締りがなってなかったとおっしゃいましたが、明確に言えば朝鮮総連があるでしょうが、総連の表の組織とは別に、辛光洙が入ってきた時などに作る地下組織がありますし、もう一つ、よど号など過激派の周囲の人たち、この3つが拉致に加担した勢力ではないかと思いますが、取締りが甘いという点についてもう少し具体的に話してください。

洪 私は、拉致問題は刑事事件じゃないと、これは戦争だといいましたが、これを戦争だと捉えれば色んな方法があります。これを刑事事件としてやろうとするから弁護士が出たり、抗議行動をすれば、何も法的にできないということになります。戦争だと思えば、暴力でなくても、法律の前の段階で牽制等ができるんじゃないかと思います。それをやるべきだと思います。

 それは法律に違反した形ではなく、正義と自由を守るための常識に基づくような行動だけでも十分にできると思います。例えば、組織暴力と関係のある芸能人が引退しましたが、北のテロ、暴力活動に利用されたインフラを黙認したとか、そういう広範な情報を民間が公開するだけでも、ものすごい制裁措置になると思います。

◆脱北者も、「死んだと言ったのは出せない秘密を持っているから」と

西岡 「めぐみさんや恵子さんは死んだ」と言った司会者が今でもテレビ番気味で司会を続けていて、制裁を受けてないわけですね。裁判で負けたにもかかわらず司会から降りないような状況があるというのは大変問題だと思いますが、一言だけ申し上げたいと思います。

 つまり、拉致だけが解決したら国交正常化してもいいんですかと言われましたが、最近出てきた証言で、「めぐみさんは生きているけども死んだと言ったのは出せない秘密を持っているからだ」という「話を聞いた」という脱北者の人が韓国にいます。

 その人は、ヨドク(耀徳)という収容所に入っていた。今のめぐみさん情報は伝聞情報ですから、彼が担当していたわけではないので、またそういう話は誰でも考えられるので、それよりも、彼の情報で気になってしょうがないのは、「耀徳収容所の中に日本人がいた。その人に自分は会った」という証言です。

 ある所を通じて、日本人の認定被害者と調査会のポスターを見てもらったのですが、「似た人はいない」と言っており、少しはほっとしたのですが、しかし、たくさんの日本人が拉致されていて、みんな収容所に入れられたことがなかっただろうかということは、思いたくはないですが、想定はしておかなければならないと思います。

 北朝鮮の犯罪を知っているというだけでなく、行ってから被害者になっている人もいるかもしれない。収容所の中にいた人たちも含めて真相を明らかにするということは本当に大変なことで、何人かの人が帰ってくればそれで解決だということにはならない、ならせるわけにはいかない。

 金正日が、自分の工作の必要のために拉致をして、30年間その秘密を維持するために管理していた。体制の根幹に関わるテロをやらせていたり、秘密工作をやらせていた。そしてまた収容所にも関係していたとすると、本当に体制をぎりぎりまで追い込まない限り全員帰ってくることは難しいのではないかと思います。

 これは増元さんが玄葉大臣に言ったのですが、「今更拉致解決の定義を云々するのはナンセンスだ」と、「一人でも日本人被害者が残っていたら解決どころか進展ではない」と。一人でも残っていて、これで終わりだということになったら、100人帰ってきても101人目がいたら救出にならないわけです。国家として、一人残してそれでいいということはありえないわけです。

 でもその一人というのは、北にとって明らかにしたくないこと、体制の根幹に関わることを見たり、体験したり、やられたりしているかもしれない。もちろん私たちは拉致救出運動をしていますから、全員救出ということを目標にし、そのために頭をひねり、政府に要求しますが、2002年に金正日が認める決断をしながら返さなかった人というのは、北朝鮮の体制の根本的な矛盾と関係している。

 その人たちを全員取り戻すということは、本当に向こうを追い込むか、あるいは向こうが自由化されるという日が来るまで、即ち二つの方法があり、話し合いと北朝鮮が崩壊した時に助け出すと言ってきましたが、後者でなければならないのか。もちろん可能性がある以上、話し合い解決が私たちの立場ですが、拉致問題だけを解決したら国交正常化にいけるかというようなくらい、拉致問題は浅くなくて、深刻なものだと私は認識しています。

◆科学的な調査が必要

洪 先ほども言いましたが、拉致救出運動はもう歴史的な英雄的な運動になったと思います。しかし最近、運動のエネルギーが尽きてしまったのではないか。この救出運動だけでなく、この運動を通じて分かった自由民主主義を敵に回す勢力が仕掛けてくる冷戦、この戦いの後継者を我々はどのように育てるのかという課題があると思います。

 スターリン体制の下での犠牲者はスターリンが死ぬことで解放されたし、他のすべての野蛮的な全体主義や独裁システムが全部そうだったのです。悪の体制が続きながらその中から何かが救われたというのは、歴史的に見られません。ユダヤ人はナチスの第3帝国が滅びて絶滅の過程が終わります。そこまでの覚悟は必要ではないかと思います。

 私の故障したコンピュータもそうですが、どうしようもないコンピュータはリセットすることですね。今、金正日との妥協を夢見るのは、最悪のウィルスに感染されたコンピュータをリセットせず使おうとするような気がします。

 先ほど、色々なインフラのこと、冷戦を戦うための情報の話をしましたが、実は最近平壌市民210万人分のデータを入手したという話があるんですが、こうこうのは誰かが進んで持ってきて買ってくださいという場合もありますし、逆にこちらが色々な計画を立てて手に入れる場合もあると思います。

 私は、光より早い素粒子を検出しようと、地下1000メートルの所に検出装置を作るような、そういう科学的な気持ちでやれば、こういうことができる可能性もあると思います。またそれをやっている内に、色々な手がかりが爆発的に増えていくのではないかと思います。まずやってみるべきだと私は思います。

西岡 実は、2002年の直後に洪先生に同じ質問をしました。何人くらいだと思いますか、と。科学的にやればいいんだ、と。当時工作船が何隻あったのか。工作員が何人いたのか。そして作戦が何回あったのか。そのすべてが拉致に動員されたとして作戦成功率が何%なのか。北朝鮮の元工作員が韓国にいるから、まず科学的に考えるべきだ、と教えていただきました。

 もう一つは、もしも私が聞いていないことを勝手に言ってしまうかもしれませんが、ある人から聞いたとしましょう。北朝鮮の人が自然に脱北してくるのではなくて、必要な人が出てくるようになぜできないのですか、と。引退した元工作員などが日本に情報を提供することを可能にすれば、かなりのことが分かる。

 つまり、今の話と通じるんですが、データを売りに向こうの人が来るということではなくて、こちらが取るために積極的に活動する。そういうことをしないと真実は分からないと言われたことを、今、思い出しました。

 同じ話を、今の対策本部の実務レベルの幹部の人にしたところ、考えてみます、と。彼はそう言いました。情報を引き出してくることを考えてみます、と。考えるということはやるということではないわけです。考える、やる、やったと色々なことがありますが、やれることは全部やってもらなくちゃ困る、と思っていま
す。

◆平壌在住日本人データに拉致被害者名も

 今、話が出ましたので一つ報告をします。

 平壌210万人のデータについてですが、私が新潟で少し話したことが記事になったり、私のブログでも書いていますが、去年からこのデータの一部を見たことがあると書いています。

 もう少し具体的にこの機会にお話をしたいと思います。

 去年8月に、救う会は、平壌市民データの68人分を入手しています。すべて「民族」のところが日本とされている人だけです。買いました。売りに出ていたのです。多分、誰かが持って出たものだと思います。偽者かとも思ったのですが、検証してみたところ、68人の中で、10人については実在の人物であることが分かりました。日本人妻です。

 誰かが日本人妻のデータを日本まできて収集して、北から出た物とでっちあげて作ったということは考えにくいので平壌で作られたデータだろうと思います。しかし、拉致被害者は入っていないと思いました。しかし、こういう情報が取れるラインというのは大切なので、大事にした方がいいと思い、日本人妻の関係者のところや関係するところには、こういう情報がありましたと報告しましたが、それ以外には黙っていました。

 今回、『週刊朝鮮』が、210万人物を公表しましたが、そのデータの形式と我々が入手したものと全く同じでした。記載事項が19あるのですが、それが全部同じでした。並び方も同じ。同じシステムから、我々は日本人と書いたものだけを抜き出して印字したものだけを入手したのですが、『週刊朝鮮』は210万人の電子データそのものを持っているということが分かりました。

 そして『週刊朝鮮』は、「民族」が日本という人が85人いると言って、名前全部を発表しました。その中に、ミン・ヘギョンという曽我さんの朝鮮名が入っていました。我々の68人のデータにはいませんでした。では、68人と85人を比べたらどうだったかというと、85人分の内68人はぴったり一致しました。そして残りの17人の中に曽我さんが入っていました。なぜ17人が我々の所に来なかったのかはまだ分かりません。

 今の段階で言えるのは、北朝鮮から出たデータであることはもう間違いないということです。しかし、210万人のデータそのものを分析しない限り、そこに入っていることについてまだ判断はできません。

『週刊朝鮮』の記事を見ますと、曽我さん以外の拉致被害者が、あと一人、レバノン人拉致被害者のシハムさんがはいっています。タイのアノーチャーさん、ルーマニアのドイナさんの記載はありません。しかし、ドイナさんは97年に死んだということですから、90年代に死んだ人は書かれないということが分かります。ここにめぐみさんと思われる人があれば、死んでないということです。

 それからジェンキンズさん、ブリンダさん、美香さんの名前がありました。また、ドイナさんと結婚したジェームス・ドレスノクさん、その二人の息子さんの内、リカッド・ドレスノクさんの名前があります。さらに、シハムさんと結婚したパリッシュさんは病気で亡くなっているのですが、二人の息子さんが出てきます。

 つまり、曽我さんたちについて言うと、米兵と結婚した人たちの管理は、こういう公民証発給の名簿の中に入ることが分かりました。その中には、レバノン人拉致被害者の名前もあったということです。

 めぐみさんと思われる人は「民族」が朝鮮というところに入っています。また、名前が北朝鮮が公表した名前と違い、血液型も違っていた。しかし、生年月日が一致し、夫が金正男(キム・ヨンナム)で、キム・ウンギョンという娘と同居しており、偶然とは考えられないところがある。さらに、キム・ウンギョンさんの職業は金日成総合大学学生となっており、ウンギョンさんの情報と一致しています。

 なお、もう一人のキム・ウンギョンさんという人がおり、金日成総合大学学生で、この人はキム・チョルジュンさんと同居していることになっている。キム・チョルジュンさんというのはキム・ヨンナムさんの朝鮮名です。父親のところと母親の所に両方キム・ウンギョンさんが出てくるような登録になっています。

 曽我さんたちは帰国しているのに登録が残っていたり、離婚した後の処理がどうなっているのか等、すべてが正確ではないのではないと思われます。ただ、なんらかの事実を反映していることは間違いないと思われるので、いよいよ厳しい検証のため、政府に対してこの210万人のデータを入手し、検証してほしいとお願いしているところです。

 我々としても検証を続けていきたいと思いますし、12月10日の国際セミナーで発表できればとも思っています。

以上



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