ブータン国王「明治神宮で陛下の長寿をお祈りした」
20歳眞子さまも宮中晩餐会へ。
今週は東京大学医学部付属病院(東京都文京区)に入院中の天皇陛下のご病状について、医師団からいくつかの発表があった。
15日には、宮内庁の金沢一郎皇室医務主管と東大病院の門脇孝院長が、医療関係者としては初めて陛下のご病状を説明。陛下は6日の入院後、一時36度台まで熱が下がったため、宮内庁が「11日に退院する」といったんは発表したが、退院は取りやめとなった。その後37~38度台の熱が続き、39度近くなることもあったとした。
18日にはさらに、検査で陛下の肺に、新たにわずかな炎症があることが判明し、「長引いた気管支炎を中心とした、軽度な気管支肺炎」と、診断を受けられたと発表があった。熱は16日から低下傾向にあり、抗生物質が効いたと判断しているという。18日夜、宮内庁の金沢一郎皇室医務主管は、気管支肺炎の原因が、細菌の「マイコプラズマ」とみられることを明らかにした。
23日には宮中祭祀の中で最も重要とされる「新嘗祭」が予定されているが、宮内庁は陛下が医師らの判断を受け入れ、出席を控えられると発表した。
7日以降、陛下の国事行為の臨時代行や地方訪問の名代などで、皇太子さまは忙しい日々を過ごされた。中でも、15日に国賓として来日したブータンのジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王夫妻を歓迎する一連の国賓行事では、両陛下の名代を務め、両国の友好親善に務められた。
16日午前には、皇居・宮殿東庭で、国王夫妻の歓迎行事が行われた。皇太子さまと秋篠宮ご夫妻が出席され、野田佳彦首相らも出席した。
両国の国歌演奏後、国王が陸上自衛隊・儀仗隊の栄誉礼を受けて会場を巡った際には、両国国旗を振る地元小学生らの歓迎に、国王が手を合わせて謝意を示す場面もあった。
歓迎行事後、皇太子さまは宮殿で国王夫妻とご会見。宮内庁によると、皇太子さまは国王に「陛下が国王と王妃をお迎えできなかったことを残念に思っております」という陛下のメッセージを伝えられた。国王は「陛下のすみやかな回復をお祈りしております」と応じたという。
両陛下が国家元首を迎えて会見をする場合、元首と陛下、皇后さまとその配偶者がそれぞれ向き合って会話をされる。今回、皇太子妃雅子さまが国賓行事をすべて欠席されたため、会見も皇太子さまが一人で対応されたが、国王が真ん中になるような席順だったという。
宮内庁によると、お一人で元首夫妻と会見するスタイルは昭和時代にもたびたびあったという。昭和50年代以降、腰を悪くした香淳皇后が公式行事に出られないこともあり、昭和天皇お一人で会見されることもあったそうだ。
夜には宮殿で宮中晩餐会が催された。皇太子さま、秋篠宮ご夫妻と成年皇族として初の公務となった眞子さま、常陸宮さま、高円宮妃久子さまと次女の典子さまが出席された。
ブータン国王夫妻が勲章やティアラをつけない民族衣装での出席だったため、男性皇族方はタキシード、女性皇族方は和服で出席された。眞子さまはエメラルドグリーンの、典子さまはピンクの振り袖姿だった。先月23日に20歳になったばかりの眞子さまは、これが成年皇族として実質的な「デビュー」の場となられた。お酒を飲んだのか、晩餐会の後は少し赤い顔をされていた。
宮内庁によると、皇太子さまは昭和62年にブータンを訪問されたことがある。ブータンの民族衣装を着て当時撮影した写真を持参するなど、国王と和やかに会話を楽しまれたという。
皇太子さまは18日午前、国王夫妻の宿泊先の迎賓館を訪れ、この日、東日本大震災で被災した福島県相馬市を訪問するため東京を出発する国王夫妻にお別れのあいさつをされた。宮内庁によると、国王は東京滞在中に参拝した明治神宮について「非常に印象的だった」とし「陛下の長寿についてお祈りした」と述べたという。王妃は「自然の力を感じました」と感想を述べたそうだ。
国賓行事を終えた皇太子さまは18日夕、東大病院を訪れ、国事行為の臨時代行を含め7日以降の務めについて、陛下に報告された。
一方、先週発熱の症状が伝えられた皇太子妃雅子さまのご病状について、宮内庁の小町恭士東宮大夫は18日の定例記者会見で、熱は下がり回復しつつあるが、せきが少し残っていると説明。国賓行事をすべて欠席した理由については、風邪ではなく「以前からのご体調」とした。
一方、マイコプラズマ肺炎が疑われ、14日まで東宮御所で静養していた皇太子ご夫妻の長女、愛子さまは、完治とはいえないものの、ほぼ回復されたという。火曜日の15日からは学習院初等科に登校し、毎日1限から最後の授業まで出席された。「病気休み明け」となった15日はお1人で登下校したが、18日には雅子さまも初等科を訪問されたという。
各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。
秋篠宮ご夫妻は12日、国技館(東京都墨田区)で、「第20回全国ボランティアフェスティバルTOKYO」開会式に出席された。
秋篠宮さまは12、13の両日、東京農業大学世田谷キャンパス(東京都世田谷区)で生き物文化誌学会第9回学術大会に出席された。14日には山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)で所員会議に出席された。
秋篠宮さまは15日、皇居・宮殿で、ご入院中の陛下に代わり秋の勲章受章者らと会い、陛下のお言葉を伝えられた。秋篠宮さまが陛下の代わりを務められるのは初めて。続いてご夫妻で、両陛下に代わり、皇居・御所で、南アフリカのシスル国民議会議長夫妻と懇談された。その後、ご夫妻で東大病院を訪ね、陛下に、代わりを務めた公務について報告された。
秋篠宮妃紀子さまは13日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で、平成23年度「少年の主張全国大会~わたしの主張2011~」に出席された。
常陸宮さまは17日、国立科学博物館(東京都台東区)で、企画展「化学者展-ニッポンの近代化学の夜明け-」と企画展「ノーベル賞110周年記念展」をご覧になった。
常陸宮妃華子さまは16~18日の日程で、大分県と福岡県をご訪問。平成23年度九州八県赤十字大会と福岡県日赤紺綬会第52回総会に臨席された。
高円宮妃久子さまは15日、大阪府を訪問し、平成23年度大阪府赤十字大会に臨まれた。
歓迎行事で国歌を聞く(左から)ブータンのジェツン・ペマ王妃、ワンチュク国王、皇太子さま
=16日午前9時27分、皇居(代表撮影)
ブータンのジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王夫妻にあいさつされる皇后さま
=18日午前、東京・元赤坂の迎賓館(代表撮影)
ブータンのワンチュク国王夫妻と握手される皇后さま
=16日午前10時23分、東京都港区元赤坂の迎賓館「彩鸞の間」(代表撮影)
南アフリカのシスル国民議会議長夫妻と握手される秋篠宮ご夫妻
=15日午後、皇居・御所「小広間」(代表撮影)