天皇陛下は休むために「仕事」をされる。
雅子さま発熱、お見舞い控えられる。
5日に皇太子ご夫妻の長女、敬宮愛子さまが退院されたものの、天皇陛下が翌6日に入院され、現在も入院中だ。皇太子妃雅子さまも発熱のご症状が明らかになっており、先週から今週にかけては、皇室の方々の病気ばかりが注目される日々となった。
天皇陛下は6日、気管支炎などのため、同日夜に東京大学医学部付属病院(東京都文京区)に入院された。10日には宮内庁が「順調に回復されている」として11日午後に退院されると発表したが、陛下は11日朝に再び発熱し、前夜からせきもひどくなったとして「大事をとって」退院を延期された。陛下のご症状は「熱」「せき」以外にはないという。
宮内庁は陛下の入院当日、「これまでの疲労が相当蓄積し、体の抵抗力が低下しているため、大事を取って入院される」と発表した。宮内庁によると、陛下は最近軽い気管支炎に繰り返しかかっていたが、今回はこれまでより重いご症状だったという。
陛下の過去の病歴を見ると、今回のような呼吸器に関連したぜんそく、せきぜんそく、気管支炎…などの病気は珍しい。だが、実は陛下は「結核」にかかられたことがあるようだ。
それは皇太子時代の昭和28年のことで、このことは平成21年の結核予防全国大会で自らが明かされた。一般にこのことが知られるまで、約60年かかったことになる。
ところで、産経新聞では紙面とネットに「両陛下ご動静」を載せているが、入院の直前の6日午後に、陛下が御所で「ご執務」をされていることに驚いた方もおられるかも知れない。
これは、「国事行為を委任すること」自体も国事行為であるため。つまり、陛下は入院中の国事行為を代わりに担う「臨時代行」に皇太子さまを据えるため、関連する書類に印を押す仕事をされたというわけだ。
「仕事を休む(委任する)ために働く」というパラドックスのようなルールだが、陛下は大変なお立場だと改めて感じざるを得ない。
皇后さまは陛下のご入院以降、7日(月曜)から11日(金曜)までの毎朝夕に病室を訪れ、病院食をともにされているという。8日には秋篠宮ご夫妻、9日に両陛下の長女の黒田清子さん、10日には皇太子さまが陛下を見舞われた。
宮内庁の羽毛田信吾長官は10日の定例会見で、入院中の陛下のご様子として、病室にパソコンを持ち込み、皇太子さまが名代で出席される式典のお言葉を作成されていたことを明らかにした。また、国賓として来日するブータン国王夫妻の歓迎式典がある16日までに、陛下が公務に復帰される見通しを示した。
7日に行われた宮内庁の風岡典之次長の定例会見では、今回、陛下が宮内庁病院ではなく東大病院に入院されたことに関連し、宮内庁病院の位置づけについての質問が出た。風岡次長は「緊急的な対応など、宮内庁病院は宮内庁病院として果たすべき役割は、十分かは別として果たしていると思う」とした上で、「個々の治療を個別にその都度判断して宮内庁病院以外のところへいくということも、施設の現状その他からみてあり得ると思う」と回答した。
宮内庁病院は皇居内にあり、宮内庁や皇宮警察の職員なども利用できるが、両陛下や皇族方の病気治療、健康維持のためにあるといっても過言ではない。しかし、装備は最新鋭とはいえないのが現状だ。風岡次長も「施設能力をどこまで持つのべきか、設備だけでなく人的人材を含めてどういう態勢でやるべきかという非常に大きな問題」と認め、「効率性の面からどうかということで、少し(宮内庁病院と他の病院とで)役割分担をするという考え方もある」という宮内庁の見解を説明した。
マイコプラズマ肺炎の可能性で先週、東大病院に入院していた皇太子ご夫妻の長女、敬宮愛子さまは5日、同病院を退院し、今週は東宮御所で療養された。宮内庁の小町恭士東宮大夫は11日の定例会見で、熱は下がっているものの、せきが残っており、14日に学習院初等科で予定されている都内の清掃工場での社会科見学は欠席されると発表した。
また皇太子妃雅子さまが10日夕に発熱の症状があり、同日夜に皇太子さまとともに東大病院に入院中の陛下をお見舞いする予定だったが取りやめられたと発表した。雅子さまは11日朝に熱が少し下がったが、せきのご症状が少しあるという。
秋の叙勲の大綬章親授式が7日、皇居・宮殿「松の間」で行われ、皇太子さまが陛下のご入院に伴う国事行為の臨時代行として、桐花大綬章の河野洋平前衆院議長ら受章者の6人に勲章を手渡された。皇太子さまは今週月曜から金曜まで、陛下に代わって宮殿で勲章受章者とお会いになった。
さて、秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまの20歳のお誕生日の夜に秋篠宮邸で行われた夕食会については、【皇室ウイークリー】(203)でも紹介したが、宮内庁の羽毛田長官は10日の定例会見で、この夕食会に関して、皇后さまが「皇太子夫妻は呼ばないで」と発言されたと報じた女性週刊誌の報道について、事実関係を説明した。
羽毛田長官によると、この日は眞子さまにとって、祖父母にあたる両陛下と秋篠宮妃紀子さまの両親の川嶋さんご夫妻の4人のみが招待された。ごく内輪の夕食会で、両陛下や皇太子ご夫妻をはじめとする皇族方などが招待されるご祝宴は別の日に検討されているとし、報じられた皇后さまの発言について「今のような事実からしても、あるはずがない」と不快感を示した。
各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。
秋篠宮ご夫妻は8日、平成23年度御寺泉湧寺を護る会定期総会出席のため、京都府を日帰りで訪問された。9日、東京会館(東京都千代田区)で、「平成23年度(第20回)ブループラネット賞」表彰式典と祝賀パーティーに出席された。
秋篠宮さまは10日、東京農業大学世田谷キャンパス(東京都世田谷区)で、講義をされた。
紀子さまは同日、平成23年度愛知県赤十字大会式典出席のため、愛知県を日帰りで訪問された。
常陸宮ご夫妻は6~8日にかけて北海道をご訪問。2011全国少年少女発明クラブ創作展と平成23年度北海道地方発明表彰式に臨席された。
9日、グランドプリンスホテル高輪(東京都港区)で、平成23年度(第45回)「ねむの木賞」「高木賞」贈呈式に臨まれた。
10日、帝国ホテル(東京都千代田区)で、2011年度(第43回)日本・ベルギー協会年次総会・会員親睦会に臨席された。
寛仁親王殿下は7日、とよた光の里主催「宮様杯第16回ウェルフェア・ゴルフトーナメント2011in小原」臨席のため、愛知県を日帰りで訪問された。
寛仁親王殿下の次女、瑶子さまは11日、東京体育館(東京都渋谷区)で、「第60回記念全国青年大会」開会式に臨まれた。
高円宮妃久子さまは7日、渋谷教育学園(東京都渋谷区)で、第6回日本アジア協会若手研究者発表会に臨まれた。
9日、東京国際展示場(東京都江東区)で、インテリアトレンドショー第30回JAPANTEX2011開会式に臨まれた。
9~11日にかけて京都府と奈良県をご訪問。第27回京都賞授賞式に臨席し、第63回正倉院展を鑑賞された。
天皇陛下の入院のため、皇居を出られる天皇、皇后両陛下=6日午後8時7分、皇居・乾門
草月流家元・勅使河原茜さん(右)の案内で作品を鑑賞される皇后さま
=5日午後6時3分、東京都中央区日本橋2丁目 (代表撮影)