【40×40】超危険水域にある中国経済
“鬼城”が中国各地に点在している。ゴーストタウンの中国語だが、正確には新しく開発されたのに住民が移り住んでこない地区のことであり、完成→不良債権化した都市開発地区のことだ。
その代表格の一つが、内モンゴル自治区鄂爾多斯(オルドス)市の康巴士(カンバシ)新区だ。石炭や天然ガスなどの資源で共産党地方幹部の一部が潤い、ヤギの放牧や農業を生業としてきた蒙古族を追い出し開発した「100万人都市」は、まさに“砂上の楼閣”となっている。
「現代化」などの掛け声よろしく、自然破壊&資源の無駄遣いをしながら各地で暴走開発を繰り返し、表面上は急成長を遂げてきた中国。が、報道によると、「地方都市の債務総額は年内で12兆元(約150兆円)へ膨らみ、そのうち約2兆元がデフォルトになる可能性がある」、つまり「超過剰供給で膨大な不良債権をつくりました」って顛末(てんまつ)。
「隠れ不良債権もあるはずだから、実際の数字は天文学的では?」という声すら聞こえる。
債務総額を12兆元で見積もっても、中国のGDP(国内総生産)の3割を占める。米国発の金融危機サブプライムローンの焦げ付きはGDPの1割に満たない規模だったというから、中国政府が不良債権処理に大ナタを振るったとしても、中国経済が超危険水域にあることは疑いようもない。
そもそも、これまで札束を刷りまくり融資しまくってきた国有銀行が破綻せず乗り切れるのか? 債権者はインフレ&重税に怒りデモする人民他、外国の金融機関・機関投資家が多数含まれる。
「中国はインフレをストップさせる機会を逃し、ハードランディングのリスクに直面している」と語るジョージ・ソロス氏をはじめ、世界の大物経済人らは「次なる危機の震源地は中国」「遅くとも2013年までに」と“予告”している。
日本&企業はこの未曽有の“巨大人災津波警報”への対策、処方箋を持っているのか? 「中国と心中」なんて死んでも嫌だ。
(ノンフィクション作家・河添恵子)