北方四島の露軍は弱い日本は1日で占領可能=ロシア
ロシア国防省の関係者が12日明らかにしたところによると、日本と領土問題をめぐって対立する北方四島(ロシア名:南クリル諸島)に駐屯するロシア部隊は、対空ミサイルシステム「ブークM1」、軽戦車「T-80」、近代的な通信設備など数々の近代化兵器の配備を開始したが、ロシアメディアは「日本は1日で占領可能だ」と報じた。
◇武器配備計画は2回変更
ロシアは今年初めに南クリル諸島の武器更新計画を打ち出したが、その計画は2度にわたって変更された。最初は「S-400」、「Su-35」、「ミストラル」の最も優れる3つを装備する計画だった。
その後、計画は見直され、ミサイルの射程は大幅に短くなり、短距離地対空ミサイル「TOR-M2」とヘリ2機に変更された。このほど公表された計画でも大きく削られ、「ブーク」の2流装備であるM1になった。そのほかの装備も「S-400」、「パーンツィリ」、「TOR-M2」と比べてかなり開きがある。
◇二流武器を配備戦闘力より決意重視
武器配備計画の2度にわたる変更から、ロシアは戦闘力より決意を重視していることがわかる。プーチン首相はかつて、「ロシアの国土は非常に広いが、1センチたりとも余計な国土はない」と述べ、2012年の大統領選の前に、ロシアの利益を守り抜く意志を示した。
最近のロシアの軍事面の動きを見ると、ロシアは3方面、あるいはさらに多くの方面で強みを見せている。ロシアと独立国家共同体は、米軍のアフガンニスタン撤退後、自らがアフガニスタンでいかに役割を発揮するかを討論した。
続いて、ロシアはグルジア、アブハジア、南オセチアに軍事基地を設置し、現在は北東アジアで強硬な姿勢を見せている。ロシアは軍事手段で実力と地位を確保することにいっそう重視してきた。同国の国土は広いが、人口は減少しつつあり、軍事力で資源を守る必要がある。
ロシアが南クリル諸島をこれほど重視するもう一つの理由は、北氷洋航路に戦略的価値があるためだ。気候変動で北氷洋の氷が溶け続ければ、北氷洋航路からベーリング海峡を迂回してアジア太平洋地域に入ることができ、アジア太平洋地域への重要なルートとなる。こうしたことから、南クリル諸島の領有権主張は日本に対抗するためだけではないといえる。北氷洋航路の開通という潜在的な価値がロシアの軍隊駐屯、軍事力の強化につながった。
日本の計算によると、陸上・海上・航空自衛隊を利用して南クリル諸島、中でも面積の大きい択捉島と国後島を攻撃するのは、わずか4日で可能だ。一方、ロシアメディアは、ロシア軍の現在の能力からすると1日しか耐えられないと見ている。
択捉島は南クリル諸島の中でもっとも大きく、面積は約3000平方キロメートルに及ぶ。山々が連なり(最高標高は1500メートルを超える)、森林が広がり、近海には豊富な海産物がある。
1991年のソ連崩壊後、南クリル諸島の防衛力は大幅に低下した。その理由は2つある。1つは遠くて補給が不便だったため、もう1つは老朽化した装備がすぐに更新されなかったためだ。地上部隊については、島に2つの部隊、5000人しかおらず、対岸の日本と比べると大きな差があった。日本には少なくとも3つの師団級部隊、6万人がいた。
戦闘機の数も日本のわずか3分の2だった。ロシアがこのときにカムチャツカ半島で行った演習では、弾が一発も命中しないという想像を絶する結果となった。これは、ロシアが「失敗」と認めた数少ない演習である。
昔から、島の戦略的価値は、一国の経済利益だけにとどまらず、障害にもなってきた。南クリル諸島を所有すれば、ロシアは日米との関係で有利な立場に立つことができる。ここから、日露両国の領土問題をめぐる姿勢は今後も変わらないと予想できる。
(編集担当:米原裕子)