「福祉アパート」2億円所得隠し
あいりん地区の20業者 国税指摘
大阪市西成区のあいりん地区で生活保護受給者向けのアパートなどを経営する約20業者が大阪国税局の税務調査を受け、昨年までの数年間で約2億円の所得隠しを指摘されていたことが5日、分かった。家賃収入を過少申告するなど申告漏れ総額は約3億円。重加算税を含めた追徴課税は計約1億円で、大半の業者はすでに修正申告に応じたという。
生活保護受給者を狙った「貧困ビジネス」が問題化したのを受けて、国税局は昨年秋以降、受給者が多く住む「福祉マンション」「福祉アパート」と呼ばれる共同住宅を重点調査していた。
関係者によると、業者らは、アパートの家賃収入などを実際より過少に税務申告していたほか、併設したコインランドリーの売り上げを計上せずに所得を圧縮するなどしていたという。
あいりん地区は日本最大級の日雇い労働者の街で、かつては1泊1500円前後の簡易宿泊所が多くあったが、景気の悪化で仕事が激減。労働者の高齢化が進むにつれて生活保護受給者が急増した。
経営難に陥る簡易宿泊所業者が相次いだことから簡易宿泊所を廃業し、生活保護受給者に支払われる住宅扶助費の上限4万2千円に家賃を設定した「福祉マンション」などに転用する業者が最近10年ほどで増加。同区の担当者によると、現在約90軒あるという。
税務調査を受けた不動産業者の男性は「税務申告については指摘されたが、生活保護受給者を無理に入居させるような違法行為はしていない」と話した。