【集う】黄文雄さん出版記念会
5日、東京都新宿区のホテルグランドヒル市ケ谷
日台は運命共同体
日本の政治家の中には尊敬する政治家として、中国の圧力に抗して台湾の尊厳を守ってきた李登輝元総統(88)を挙げる人が多いと聞く。台湾出身の評論家、黄文雄(こうぶんゆう)さん(72)の出版記念会に集まった約250人の中にも与野党の議員が散見され、新著の刊行を祝福した。
著書「哲人政治家 李登輝の原点」では、李元総統が旧制台北高等学校、京都帝国大学で日本流の最高の教養を身につけてきたことなど、人間としての深みの背景を分析している。李元総統が中国の横やりで、何度も来日が妨げられた経緯についても触れられている。
発起人の一人、安倍晋三元首相(57)は「黄文雄さんの出版力によって、日本人の台湾観・中国観は正しい方向に変わってきたと思う。日台が連携を深めることで、この地域の海の平和と安定が保たれる」と、台湾との関係強化を訴えた。小池百合子衆院議員(59)も「李登輝さんは日本人よりも日本のことを真剣に考えてくださっている」と強調。西村真悟元衆院議員(63)が「日台は運命共同体」と述べると、会場から「そうだ!」と賛同の声が上がった。
100冊以上の著書を出している黄さんが、出版記念会を開くのは意外にも今回が初めて。来日がかなわなかった李元総統も「初のパーティーがくしくも私についての本ということで、非常に光栄。この本で私の頭の中が裸にされたようで、いささか面はゆいものがあります」とビデオでメッセージを寄せた。
出席者からは日台関係の強化や黄さんの活躍を願う発言が相次ぎ、黄さんは「非常に感動、感激です」とあいさつ。評論家、藤井厳喜(げんき)さん(59)の音頭で「台湾独立万歳」を三唱すると、会場の熱気は最高潮に達した。
(溝上健良)
「台湾独立万歳!」と三唱する黄文雄氏(左)と藤井厳喜氏