野田首相は猛省せよ!
野田佳彦首相の「野党との対話を重視する」という姿勢は大いに歓迎したい。
だが、政府・与党が、野党に対話を呼びかけるのは当たり前のことだ。特に、目新しいことではない。菅直人前政権があまりにも独善的で、乱暴極まる国会運営を続けてきたために、常識的なことが新鮮なことのように報じられている。
民主主義を支える大きな柱は、議会における緊張感ある与野党の論戦である。
それによって、政策の問題点や社会情勢との問題が明らかになる。また、論戦を通じて、政府・与党は政策の正当性を説明することができ、野党の批判が間違っていれば、それを論破することで国民の信頼を勝ち得ることができる。
そうした論戦の場は、衆参の予算委員会である。所信表明演説に対する本会議での代表質疑は前さばきのようなもの。野田政権は当初、予算委員会を開かずに、臨時国会をたった4日で閉会しようとした。これは国会や国民から逃げるようなもの。最終的に、会期は今月30日まで14日間延長となったが、野田首相には猛省を促したい。
各党の代表質疑で、野田首相は内閣について「適材適所」と語っていたが、自ら「安全保障に関しては素人。これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と信じがたい発言をした一川保夫防衛相のどこが適材適所なのか。一川氏は「国会議員になって以来、あらゆる分野について国民目線で判断している。一種の素人的な感覚で対応したい」と語っていたが、それでは防衛相は務まらない。
防衛力には、装備の質や量といったハード面だけでなく、情報収集力や分析能力といったソフト面も重要であり、運用を担う指揮官には極めて高い専門的能力が求められている。自衛隊の最高指揮官は総理大臣だが、防衛相はその下で自衛隊全体を統督して、適切な提案をしなければならない。素人的な感覚はまったく必要ない。研ぎ澄まされたプロの目でしか、国民の生命と安全は守れないのだ。
さて、沖縄県石垣市と与那国町、竹富町からなる「教科用図書八重山採択地区協議会」が、勇気と英断を持って育鵬社の公民教科書を選定したことに対し、法的権限のない沖縄県教委が「不当介入」していた問題で、私と自民党の義家弘介参院議員とともに「違法状態を放置すべきではない」と訴えてきた。
報道では、文科省は、県教委の介入について「法的に無効」と判断したという。大変喜ばしいことだ。今後、「日教組のドン」こと、民主党の輿石東幹事長による再介入がないよう、厳しく監視していきたい。
(自民党衆院議員)