野田首相の父上は元自衛官で、しかも最精鋭部隊である習志野駐屯地の第一空挺団所属だったと聞いていた。さすが軍人の息子だけあって、揺ぎ無い国家観を持っている保守系政治家だと持ち上げられていた。ところが調べてみると、実は空挺団ではなくて業務隊の所属だったらしい。
事情があって父上の職歴がかわったのかも知れないが、親の仕事について、事実に相違する説明をしていたのはマズイ。政治家として、と云うより人間として信用できない。選んだ閣僚の顔ぶれを見たって国家観はぐらぐらだし、保守系でも何でもない。さすがは民主党 、新首相もただの嘘つき野郎だった。
もっとも空挺団だろうと業務隊だろうと軍人は尊敬すべき立派な職業だ。所属の違いくらいであまり責めるのも酷だろう。但し空挺団、即ち落下傘で降下するレンジャー部隊はとてつもなくカッコいい。年配者だと「空の神兵」なんて言葉を思い出すし、スマトラ島に降下する無数の落下傘が瞼に浮かぶ。だからと云って、誇らしい空挺団のイメージを借りてきて、票集めに利用するとは何とも情けない。
こういうつまらないマネをするのは、野田氏が地盤も看板もかばんもないのに政治家を志したのが原因だと思う。支持者もない。肩書きもない。金もない。そんな立候補者が当選したければ、浮動票を得るためにイメージアップ作戦しかない。父上が空挺団かどうか、世間のひとにはどうでもいい話なのに、本人は藁にもすがるつもりだったんだろう。ついでに云うと、靖国神社 に関する真っ当な発言も単なるイメージアップ作戦だった。それが証拠に首相として参拝する気などさらさらない。
このひと、松下政経塾 で勉強して議員になったらしいが、そもそも政治家志望者の塾って一体何なんだ。地域の発展に貢献して支持を得るとか、ビジネスで成功して信頼と名声を得るとか。そこで周囲に押され、然らば地域のため、国家のために人肌脱ぎましょうと云うのが政治家としての常道だと思う。
学校を出ました。政経塾に通いました。立候補しました。そんな連中のどこに政治家として値打ちがあるのか、さっぱり分からない。だいたい彼らは金を持ってない。金のない奴は議員なんかしちゃいけないのだ。根が貧乏だと、欲得に目がくらんで悪いことばかりしてしまう。あるいは民団みたいな政治集団から金を貰って、売国議員に成り下がってしまう。
ちなみにわが国は突出して議員報酬が高い。他先進国と国会議員の報酬を比較すると、わが国は軽く2~3倍にも上る。さらに地方議員の報酬も国会議員よりちょっと低めくらいなので、他国とは比べ物にならないくらい馬鹿馬鹿しく高い。欧米では地方議員なんて功なり名を遂げた人々の名誉職で、議員報酬なんてお小遣いくらいしか出ないケースも多い。ふつう、議員は職業の範疇に入らないし、他に職業があるか、資産があるかが常識だ。
わが国の政界は異様だ。何も持たない若者が手っ取り早くリッチになるために、そして名声とプライドを得るために、政治家を目指す。これじゃ、歌手やスポーツ選手と一緒だ。で、実態もないのに華やかなイメージだけを演出しようと、父親の職業についてまで嘘っぱちを並べてしまう。哀しい話だ。
野田首相の支持率が高いと云うけれど、誰が見たってそんなもの今だけだ。空挺団と一緒でとりあえず上空には行くけど、あとは降りるだけ。落下傘がうまく開けばいいが、開かなきゃ、どんどん猛スピードで落ちるだろう。落下傘、落下傘とそのとき慌てても、もう遅い。恐怖のあまり叫ぶのだ。
おっかさ~ん!