現実路線に踏み込めるか。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【主張】野田新首相




野田佳彦新首相は自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表との党首会談で、マニフェスト(政権公約)見直しを含む3党合意の順守を明言し、テーマごとの政策協議機関の設置など両党に協力を呼びかけた。

 マニフェスト見直しに慎重な小沢一郎元代表に近い輿石東幹事長は、子ども手当の見直しなどに異論を唱えていたこともあって、対応が懸念されていた。しかし、「3党合意の経過は尊重しなければならない」と語り、合意を順守する考えを示した。

 当然なことだが、自民党は合意順守を民主党が正式な機関で決定し、幹事長と政調会長が改めて署名することなどを求めている。民主党がまとまって公約見直しに動くのか不透明さが残るためだ。

 新政権の当面の課題は、東日本大震災からの本格的復興に必要な第3次補正予算の早期成立だ。しかし、その財源をめぐっても増税の是非で党内合意はとりつけられていない。こうした問題を党内融和態勢で乗り切れるのか、危惧せざるを得ない。

 調整力が問われる官房長官でも、側近の藤村修前幹事長代理が起用された。

 一方、野田新首相は経団連の米倉弘昌会長と会談し、「経済政策を間断なく行う」と強調するとともに、「政府の会議を作り直すので、経済界にも協力してもらいたい」と出席を求めた。

米倉氏が政府の新成長戦略実現会議への欠席を続けているためだ。民主党政権の経済政策は、企業を国内から追い出し、雇用を減らす「アンチビジネス」とみられていた。経済界の協力は成長戦略の立案にとって極めて重要であり、関係改善を図る姿勢は妥当なものだ。温室効果ガスの25%削減目標や経営側に厳しい労働者派遣法の強化などの「反企業」政策を転換してほしい。

 野田氏は前原誠司政調会長に閣僚を兼務させない代わりに、法案決定時には政調会長の了承を求めるという政策決定システムの変更を打ち出した。

 党側の意見の反映を狙ったのだろうが、内閣の下での政策決定一元化は民主党がマニフェストにも掲げた目玉の一つである。重大な方針転換であり、どのような問題点があったのか、新たな仕組みでどのような効果が期待できるのかを説明すべきだ。