「西村慎悟の時事通信」 より。
栃木(下野)の田中正造は、足尾鉱山鉱毒事件の窮状を訴えるために日比谷をお通りの明治天皇に街頭で直訴した。天皇に駆け寄る田中正造を警護の近衛騎兵が槍を構えて阻止しようとしたが、馬が驚いて立ち上がり、騎兵の槍は正造を刺せなかった。
この直訴に先立ち、田中正造は衆議院議員として議会で質問をしている。その田中の質問の題が、表題の「亡国を知らざればこれ即ち亡国」である。
田中正造は、足尾鉱山の鉱毒で疲弊して廃村となってゆく栃木の谷中村と村民を守ろうとした。谷中村を守ることが国を守ることだと田中は確信した。そして、このことを知らないことが即ち亡国なのだと田中正造は言った。 私の事務所には、この田中正造の肖像写真がおいてある。
そして、現在、この田中正造の言葉が、生きた警告として我々に突きつけられているのを感じる。
北朝鮮に拉致された同胞(はらから)を救うことが国を救うことなのだ。これを知らなければ、即ち亡国である。
然るに、民主党という存在とその中で代表を争う面々。
民主党と彼らは、これ即ち亡国を顕している。
二十七日は、北海道札幌で
「国家再興と拉致問題の早期解決をめざす道民集会」
が行われた。主催者は、北朝鮮に拉致された日本人を救出する北海道の会(略称、救う会北海道、代表 藤野義昭弁護士)である。
北海道は、マスコミを含めて左翼の根強いところである。左翼とは、北朝鮮シンパということである。つまり、左翼とは、「北朝鮮に拉致された日本人を救う側」ではなく「拉致犯人の北朝鮮を援助する側」さらに「拉致犯人の北朝鮮と共同正犯」のことである。
従って、東京では菅直人と民主党が北朝鮮に関連する組織に多額の献金をしていることが明らかになっているが、北海道の民主党も北朝鮮が日本で資金を集めるために興行する金剛歌劇団に資金援助をしている。
こういう左翼が根強いのが札幌である。従って札幌の私の友人は、雪祭りの行われる大通公園を「赤の広場」と呼んでいる。いつも左翼が演説しているからである。当然、左翼は拉致問題を封印して、「赤の広場」でも拉致問題を語らない。語るのは我々だけだ。
札幌の「赤の広場」にで演説する左翼は、今連日マスコミに顔を出して拉致を封印し国家と国防を語らない民主党代表選の面々と同じである。左翼とは、東京でも札幌でも金太郎飴の如く同じなのだ。
しかし、北海道の札幌は、横田めぐみさんの父である滋さんの故郷である。従って、救う会は、早くから少人数ではあったが活動を初め、二十七日のように、横田滋さんご夫婦を札幌に招き、一番適切な時期に、盛大な救出集会を開催されたのである。札幌だけではなく、旭川や小樽、北海道一円から有志が集まってこられた。こともあろうに、与党と総理大臣が左翼であり北朝鮮側である今こそ、拉致被害者救出集会が必要なのだ。
集会では、横田滋さんと早紀江さんご夫婦お二人は、切々と家族会の歩みと救出への努力を述べ訴えられた。会場には、横田滋さんの小学校から高校までの同級生が来られていた。
私は、拉致・核・領土どうする日本、という題を頂き一時間弱話しをさせていただいた。
集会の後、参加者は改めて民主党の代表選のレベルの低さに愕然とされた。若手の仲間は、こう言った。「もうテレビニュースは見ない。偏向している。出てくる奴を見れば腹が立つだけだ。情報はパソコンで見て新聞でとる。これで十分だ。」同感だ。
自国の通貨が価値を無くし紙切れになって滅びた国は掃いて捨てるほどある。反対に、自国の通貨が価値を増して高くなって滅びた国はない。
しかし、近い将来、一つだけ例外が生まれるかも知れない。それは、日本だ。
自国の通貨が価値を増す中で、総需要喚起策を決断できず増税に走って国民を苦しめ製造業を壊滅させ、自国民を救い領土を守るという国政の最大の本義を忘れて他国に迎合して滅亡した。
このままいけば日本の近未来像はこうなる。
民主党政権が一日延びれば、他国即ち中国にやられる前に自滅する恐れが一日増す。我が国は、一刻も速く民主党という悪夢から醒めて国防体制を確立せねばならない。
これと同じ危機を乗り越えたのが百五十年前の幕藩体制から脱却した明治維新である。従って、現在も「明治維新に匹敵する維新」、即ち「戦後体制からの脱却」が必要である。
それを如何に為すか。
自民党が駄目だからペテンで政権を握った民主党が、さらに駄目だから、政権を自民党に戻せば維新がなるのか。為るはずはない!
維新を為すには、自民、民主の幕藩体制の枠を超えた真の保守の結集が必要である。
その結集の核となるものは何か。
それは「たちあがれ日本」(平沼赳夫代表)である。