【放射能漏れ】
栃木で開催GP、風評被害
「日本に行かない」ライダー尻込み。
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/110822/oth11082206360004-n1.htm
福島原発事故による“風評被害”で、世界最高峰のモータースポーツが揺れている。オートバイ・ロードレースの世界選手権「モトGP」シリーズに参戦するトップ選手たちが、10月にツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)で予定される日本GPをボイコットする考えを示しており、統括団体や主催者との間で緊迫した状況が続いている。
(只木信昭)
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「日本には行かない」。今季ランク首位のケーシー・ストーナー(豪州)と、同2位で昨季覇者のホルヘ・ロレンソ(スペイン)が声をそろえたのは7月16日。ストーナーは「他のライダーも同じ考えだと思う」と続けた。東日本大震災を受け、4月24日予定だった日本GP決勝は10月2日に延期された。だがライダーたちは、もてぎから約130キロ離れた福島第1原発の状況に不安を抱き、開催中止を要求。5月以降、統括団体の国際モーターサイクリズム連盟(FIM)などと協議を重ねた。
ライダーたちが「問題なければ出場する」として放射線の影響調査を求めた嘆願書には、最高峰・モトGPクラスの参戦者17人中、青山博一(ひろし)以外の全員が署名。これに応じてFIMは独立機関に調査を依頼した。コース上はもちろん、真岡市など近隣一円で手に入る水や食料品まで調査し、7月末に出された結論は「影響は無視できる程度」。これを受け、FIMは8月初め、予定通りの開催を確認した。
だが、ロレンソはボイコットを撤回せず、若干態度を軟化させたストーナーも「出場を検討中」とするだけ。さらに15日には、7度の王座に就いたバレンティーノ・ロッシ(イタリア)までがボイコットを口にし始めた。レース界で大きな影響力を持つロッシは、これまで慎重な姿勢だったが「シリーズ主催者に正しい判断を希望したが、そうはならなかった」とする。
同じもてぎで9月に予定されている米最高峰のインディカーで開催に反対する声が上がっていないのとは対照的で、ある関係者は「行きたくないと言えば行かなくてよくなると思っている。ライダーたちは子供だ」と切り捨てる。
ボイコットすればライダーはチームから重大な契約違反を問われるが、現時点で出場の意思を明確にしているのは青山ら3人だけ。人気、実力トップのライダーが欠場すればダメージは計り知れない。もてぎを運営するモビリティランドの関係者は「FIMなどが開催を明言しており、われわれにこれ以上できることはない」と表情を曇らせている。
昨年、白熱したレースが展開されたツインリンクもてぎ (2010年10月3日撮影)