ポピュリズムが日本を滅ぼす。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






「この国のかたち」対談
石原慎太郎都知事×葛西敬之JR東海会長。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110813/dst11081307390004-n1.htm


東日本大震災後の「この国のかたち」をめぐり、石原慎太郎・東京都知事と葛西敬之・JR東海会長が対談した。東京電力福島第1原発事故による放射性物質の拡散は「政府の人災」と言い切る2人。話題は国家観からエネルギー政策、リニア新幹線、2020年五輪招致にまで及んだ。鋭い分析と歯にきぬ着せぬ正論で、縦横に熱い思いを語り合った。(進行 東京本社編集局長・飯塚浩彦)

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 ■電力パンクから冷静な議論始まる/放射性物質拡散は人災

 □石原氏「JOCじゃ“戦争”にならない」

 □葛西氏「ポピュリズムが日本滅ぼす」

 ◆リーダーシップ

 --震災後の復旧・復興がなかなか進んでいないという現状がありますが。

 石原 僕はね、ローレンス・サマーズ(元米財務長官、注(1))って大嫌いなんです。威張ってて。彼はね、今度の震災で日本はこれでダメになる。ポルトガルのリスボンが大地震に遭ったときと同じように、急転直下、亡国に向かうだろうといってるんですよ。小癪(こしゃく)な言い方でね。彼はもともと東洋人をバカにしてるしね。日本人は必ずリバウンドしますよ。

 葛西 戦後65年たって、国家意識とか、国益とか、そのためのリーダーシップが一回も考えられないできたような気がします。それが今、すべて問い直されてるというか。

 石原 全くそうですよ。僕はね、東日本大震災を「天罰」といって怒られましたが、今回、「我欲と天罰」というサブタイトルの「新・堕落論」という本を出しました。日本人は本質的に堕落した。芯まで腐っちゃった。いつも同じことを言うんですけど、30年前に死んだおじいちゃんを弔いもせず置いておいて、年金を詐取している人間は、世界中で日本にしかいません。アメリカでもヨーロッパでもどこにもいない。アフリカでも。

 ちょうどそのニュースを聞いたときに、どっかのテレビでアフリカの象の話を見た。象というのは群れの長が死ぬと、子供の象まで鼻を触って別れを告げる。畜生でも自分の親族の弔いをするのに、生みの親や、生みの親の親を弔いもしないで年金を詐取する人間なんて日本しかいませんよね。まさに価値の基軸が完全に狂っちゃいました。

その逆の変な現象は、パチンコ屋とか自動販売機。自動販売機なんて、外国に置いたら一晩でなくなっちゃう。ニューヨークでもロンドンでもパリでも、治安が悪くて。一種の平和の毒でね、変な律義さみたいなものが日本人を律して、その律義さがプラスに働いてない。震災が起こって、ボランティアの人たちには感謝するし、美しいけどね、半面、盗賊も跋扈している。あまり公表されていませんけれども。

 また、厚生省が堕落したのは、竹下派の経世会の御三家が薬屋と結託して政治資金をつくった。それを見てるから、岡光序治(元事務次官)みたいな人が年寄りを食い物にして結局バレた。それで年金を破壊した。フランスとかイギリスとかなら暴動が起き、デモが起きる。日本人はぶつぶつ言いながら我慢してるんですよ。あのときなんで日本人がデモを起こさないのかなと思ってましたけど。日本人の自己抑制は、今度はいい形で出ましたけど政治に対してはダメですね。

 葛西 そうですね。いい面も出るけど、政治なんかに対しては思いをきちんと出さないというか。強さと弱点が表裏一体で働いたと思います。

 ◆軍と戦った官僚

 --いまの日本が置かれている状況をどのようにみられていますか。

 石原 僕は戦後の日本を良くしたのも、ダメにしたのも官僚だと思う。彼らには発想力がない。大臣の時に、「いや、お嫌いなのはわかってますが一生懸命お仕えいたします」と言うんだが、「嫌いじゃないんだ」と言うと、「では、お好きですか」と聞くから、「好きなわけないじゃないか。軽蔑してるだけだ」(笑)。特技はコンティニュイティとコンシステンシィと言うけど、この変化の時代に継続性と一貫性を自慢してたら、先輩がやったことを踏襲するだけだからね。

 役人がたまに発想して、文科省はバカな役所ですが、ゆとり教育なんてやる。1年たたないうちに惨憺(さんたん)たる結果が出ても、朝令暮改でいいのに「間違ってました」と言わない。気の利いた学校は無視して、土曜日も授業をする。あれ、正式に取り消したのかしら、文科省は?

 葛西 取り消しました。教育再生会議が決めてから、確か学習指導要領を少し変えた。最近ですよね。

石原 そう、あんなバカな回り道をしてね。朝令暮改しなきゃしようがないというんだけど。日本の戦後には大官僚っていたんですよ。岸信介(元総理)だってそうだし、椎名悦三郎(元外相)だって。こういう人間たちが官僚の身ながら、どうしていい政治家になったのか。それは、軍と戦ったからですよ。軍というアンチテーゼがあった。だから役人が抵抗して。賀屋興宣(元蔵相、注(2))なんて軍縮会議に行って、随行していた山本五十六(元海軍大将、注(3))にぶん殴られた。

 葛西 そうなんですか。あの人は大蔵官僚だった。

 石原 ええ。あの人は初めて日本で統制経済をやった。賀屋さんに私淑したんですが、「どうして先生みたいな人を終身刑にしたの」と聞いたら、「やきもちでしょ」と。賀屋さんは「こんな貧乏な国が3年間も戦争できたのは、私の財政のおかげですよ」と言うんだね。終身刑だけど10年くらいで出てきたが。

 ◆我欲に走る政治

 --現政権が官僚を使い切っていないというのはよく指摘されるところです。

 石原 確かに、今の日本の官僚はちっとも評価しませんが、少なくとも彼らには経験があって知識があるんだから、使えばいいじゃないですか。言えば、応えはする。羽田空港の4本目の滑走路、僕と亀井静香(国民新党代表)が運輸省を恫喝(どうかつ)して、15分で決めました。

 葛西 官僚は平時には地図のある道を正確に行く能力が評価されます。過去の傾向の上に、今日があって、今日と過去と結んで将来を想定する。地震の復興も阪神大震災の経験が大いに役に立つはずです。

 しかし、非常時に対処するのは直感、瞬発力。これらを持つ非常時のリーダーを日本は育ててもこなかった。いま、それが問われています。

 石原 そう。平和の毒なんです。

 葛西 「それは実証に基づいていない」といった意見を耳にすることがあります。しかし、国も企業も実証されたことだけやっていたのでは滅びてしまう。人間観や自然観と世界観に裏打ちされた直感。それが日本のリーダーにはない。

 石原 結局、日本人のアイデンティティーは我欲になった。保身もそう。日本の政治家は全部そうだ。消費税率アップなんて、超党派でやらなければできっこないが、個々では損するかもしれないと思うと、やらない。

葛西 ポピュリズムですね。日本が太平洋戦争に突入する前に、近衛文麿(元総理、注(4))が出てきますね。当時、陸軍参謀本部は、何とか蒋介石と早く手を握ってソ連に備えなければ消耗戦で日本はダメになるから、譲歩すべきだと、あらゆる工作をやる。ところが、コミンテルンの示唆を受けた言論人が、蒋介石と日本を戦わせることがソ連のメリットだから、「勝っている戦争を寛大な条件でやめることは戦争で亡くなった人に申し訳ないだろう」といって、煽(あお)る。そうすると、近衛は土壇場で主戦論に乗り換える。一部のメディアに煽られた世論に迎合して、何回か和平のチャンスを失します。その結果、戦争に落ち込んで国を滅ぼしました。

 ヒトラーは無理やり自分のリーダーシップでドイツを戦争に巻き込んだが、日本は世論に迎合して突っ込んだ感じですね。そして、その後もまた全部迎合。占領軍のいるうちは占領軍の言ってることはしようがない、占領軍が同盟軍になった後も、自ら現実を見、決断し、国民を説得して実行することなしに、占領軍から自由主義世界のリーダーとなったアメリカに、すべてかこつけてやってきた。徹底的なポピュリズムという気がします。

 石原 菅(首相)に限らず、政党も政治家も国民も、結局全部、我欲ですよ。

 ◆エネルギー逼迫

 --前例のない事態への対応の話が出ましたが、原発事故でエネルギーが逼迫(ひっぱく)しています。

 石原 僕はね、もっと酷暑になって、電気会社がパンクするような事態になった方がいいと思います。そうしないと、原発に限らず、発電に対する冷静な議論が行われない。

 この間も、黒岩祐治(神奈川県知事)が「石原さん、ソーラー発電やりましょう。私は孫正義(ソフトバンク社長)の『自然エネルギー協議会』に加入したんですけどね、ぜひ一緒に」と言うから、「ソーラー発電は結構だが、どういう根拠で日本の産業を支えるのか。絶対できっこない」と言いました。たまげた人間が出てくるよ、孫だとか菅だとか。

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 注(1)

 ローレンス・サマーズ 1954年生まれ。クリントン政権下で財務長官を務めた。退任後はハーバード大の学長を務めていたが2005年、女性蔑視とも取られる発言をきっかけに辞任。オバマ政権では、国家経済会議(NEC)委員長に就任したが、2010年に辞任した。

 注(2)

 賀屋興宣(かや・おきのり) 明治22~昭和52年。広島県出身。大蔵次官を経て、昭和12年、第1次近衛内閣で蔵相に就任、戦時財政を担当した。貴族院議員となり、16年東条内閣の蔵相。戦後A級戦犯とされ、終身刑に。赦免後、衆院選に当選。第2、3次の池田内閣で法相を務めた。

 注(3)

 山本五十六(やまもと・いそろく) 明治17~昭和18年。新潟県出身。昭和14年、連合艦隊司令長官。15年に海軍大将。真珠湾攻撃やミッドウェー海戦の指揮を執った。ソロモン諸島のブーゲンビル島上空で米軍機に撃墜され、戦死。元帥を追贈され、国葬が行われた。

 注(4)

 近衛文麿(このえ・ふみまろ) 明治24~昭和20年。摂政関白を承継する五摂家のうち、近衛家の30代当主。貴族院議員、貴族院副議長。内閣総理大臣に3度指名された。戦後には、東久邇宮内閣では国務大臣に就任した。GHQに戦犯の容疑をかけられたため、服毒自殺した。




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葛西敬之・JR東海会長



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                       石原慎太郎東京都知事