女子の力を引き出す「おやじ力」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【from Editor】
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/110809/scr11080907560001-n1.htm



女たちは元気なのである。電車に乗っても楽しそうに会話してるのは女性ばかりだ。休日に外出して気づくのも、やはり女性の数の多さ。街をはつらつと闊歩(かっぽ)している。男どもは、いったいなにをしてるのだろう、と思う。

 スポーツ界も、このところ女子がリードしている感がある。

 サッカー女子のワールドカップを制した日本代表、なでしこジャパンは、空前のブームに沸いている。震災でうちひしがれたこの国に、明るい話題を運んできたのだから、少しくらい宴会ではめをはずす選手が出たっていいじゃないか、競技レベルが低いといってもかまやしないだろう、と国民栄誉賞までいただいてしまった。

 これで、その前の2000年シドニー五輪女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子に続き、スポーツ部門での国民栄誉賞は、女子の連続受賞となった。

 プロゴルフだって元気なのは女性たち。宮里藍ら世界に通用する選手がきら星のごとく現れているのだから。彼女らは日本ツアーを飛び出して、世界を舞台に戦っている。どうした男どもよ、といいたいところだが、よくよく考えると女たちの活躍の陰には必ず男がいる。

 なでしこジャパンが頂点に上りつめた背景には、佐々木則夫監督の指導力があった。ギャグを飛ばして選手をなごませ、持ち前の明るさでなでしこたちの気持ちをつかんだ指揮官は、選手の見極めも抜群で、準々決勝ドイツ戦の丸山桂里奈、準決勝スウェーデン戦の川澄奈穂美と、起用した両FWが勝利のカギを握る活躍をした。

宮里藍や横峯さくらといった女子ゴルファーを一流選手に育てたのも、競技を教え込んだそれぞれの父親の力であり、高橋尚子にしたって、小出義雄監督という名伯楽がいたからこそ、五輪チャンピオンになることができた、といえる。

 ここまで書いて、1996年東京国際女子マラソンで優勝した藤村信子の言葉を思いだした。「落ち込んでいる監督の笑顔が見たかった」。その年のアトランタ五輪で期待が大きかったダイハツの同僚、浅利純子が17位に終わり、失意の底に沈んでいた鈴木従道監督に何とか立ち直ってもらおうと、彼女は必死に駆けた。

 いまや指導者たちの「おやじ力」が若い女子の力を引き出すといっていい。で、自分もそいつを発揮しようと見渡したが、うちの部には肝心の女子がいなかった。

                           (大阪運動部長 正木利和)