首脳外交の日程は組むな。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【主張】首相訪朝検討
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110727/kor11072703080000-n1.htm


菅直人首相が北朝鮮への電撃訪問を模索しているとされる。低迷する支持率回復への延命策である可能性が高い。「死に体」の政権が首脳外交を行っても、成果はほとんど期待できない。かえって足元を見られ、禍根を残しかねない。

 この計画は、民主党の中井洽(ひろし)元拉致問題担当相が北朝鮮の国交正常化交渉担当大使と極秘に接触を続ける過程で、浮上したようだ。中井氏側が拉致問題解決への具体的進展を求めたのに対し、北朝鮮側は「拉致問題は解決済み」との従来の主張を繰り返し、「日本人妻の帰国とよど号犯の引き渡し」は可能だと示唆したという。

 日本人妻の帰国も、よど号犯引き渡しも大事な問題だが、日本にとっては、拉致問題の解決が最優先課題である。拉致被害者が帰国する可能性がない限り、首相は訪朝する必要はないだろう。

 小泉純一郎元首相は平成14年9月と16年5月に2度、訪朝した。そのときは、金正日総書記が拉致の事実を認めて謝罪し、拉致被害者の一部とその家族が帰国するという具体的な成果があった。

 また、北の核開発問題では、先の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)の閣僚会議で、北がウラン濃縮計画を停止することを前提に6カ国協議を再開するとの共同声明が発表されたばかりだ。

菅首相はこの問題でも、独自に交渉するというのだろうか。訪朝の強行は米国・韓国との協力態勢にひびを入れるだけだ。

 ただし、拉致問題解決に向けた北との接触は続ける必要はある。3年前の20年8月、北は日本に帰国していない横田めぐみさんら被害者の再調査を約束したが、その後、何の回答もない。まず、この約束履行を迫るべきだ。

 米国ではクリントン政権末期の2000年10月、オルブライト国務長官が北朝鮮に派遣され、クリントン大統領自身の訪朝も検討された。しかし、次期政権の行動を縛るべきでないという声も強く、大統領の訪朝は断念された。

 これに対して菅首相は、9月に訪米し、オバマ大統領との会談を目指しているのに続き、中国の辛亥(しんがい)革命100年にあたる10月の訪中にも意欲的だという。

 退陣表明した首相は、日本の将来の責任を担えない。首脳外交の日程は原則組むべきでない。