(宮内庁発表分/25日・月)
【午前】
両陛下 倉本一宏・国際日本文化研究センター教授から一条天皇ご事蹟ご進講《千年式年に当たり》(皇居・御所)
【午後】
両陛下 離任する駐日コスタリカ大使夫妻をご引見(御所)
陛下 韓国、モナコの新任駐日大使の信任状捧呈式(御所)
両陛下「ご自宅」で儀式。
皇居も節電…宮殿の使用半減。
皇居で、電力の消費を削減しようと、さまざまな取組みが行われている。大型施設のため冷房や照明に多くの電力が必要な「宮殿」を極力使わないようにしたり、行事の時間を変えてみたり…。今夏は例年に比べ宮殿の使用回数がほぼ半減している。25日には信任状捧呈(ほうてい)式が、両陛下のお住まいである「御所」で初めて実施された。(芦川雄大)
約2万3千平方メートルの広大な延べ床面積を持つ宮殿では、首相や最高裁長官に任命書を交付する親任式、新任外国大使が派遣国から託された信任状を陛下に渡す信任状捧呈式といった国事行為に基づく儀式や、勲章親授式、歌会始などの重要行事が行われてきた。
だが、宮殿は、皇居内の施設で最も消費電力が大きいとされる。行事に使われる部屋は広くて天井が高く、「暑い日は2時間前から部屋を冷やしている」(宮内庁)。真夏でも大半の行事は正装の必要があり、高齢の出席者のためにもしっかり温度を下げる必要があるという。
そのため今年は、例年宮殿で実施されてきた行事を、両陛下がお住まいの御所で行うことが相次いでいる。
昨年6月1日から7月25日までに陛下が行事や執務のため宮殿にお越しになったのは41回だったが、今年は半分以下の20回にとどまっている。今年は、震災の影響でずれ込んだ「春の勲章」の拝謁関係の行事が、この期間に7回あったにもかかわらずだ。
25日には韓国、モナコの新任駐日大使の信任状捧呈式が御所で行われた。御所で信任状捧呈式が行われるのは初めてのことだ。5日夜にも、平野達男震災復興担当大臣らの認証官任命式が御所で初めて行われた。
両陛下が外国の大統領、大使らと懇談される会見・引見も同様に、御所で開かれている。側近によると、障子越しに明かりが入れば部屋の電気をつけないこともあるそうだが、両陛下の「ご自宅」に招かれた外国の客たちは一様に節電の取り組みに理解を示すという。
こうした「場所を変える」節電に加え、消費電力のピークをずらすため、行事の「時間を変える」試みも実施されている。
14日に宮殿で行われた警察大学校警部任用科の学生拝謁は例年午後に実施されていたが、今年は、まだ涼しく、冷房を強くしないで済む午前9時半からに変更された。
宮殿の消費電力が多いもう一つの理由は、豪華な照明設備だ。宮中晩餐(ばんさん)会が行われる豊明殿(ほうめいでん)やホールには、華やかなシャンデリアもある。現在は、行事中に一部の電気をつけない方法でも節電が行われている。
企業や一般家庭では、消費電力が少ないLED電球に切り替えるという選択もあるが、宮殿の照明については現段階での切り替えは難しいという。強い明かりを放つ250ワットの電球を一部で使うなど、華やかな明るさが求められる上、LED電球の課題とされる「光の広がり方の狭さ」もネックだからだ。
宮内庁幹部は「中長期的な課題としては(LED電球切り替えも)認識しているが、ある程度の光の広がりもおもてなしには必要」と、節電と雰囲気のバランスに頭を悩ませる。その上で、「震災直後に47日間連続で自主停電された両陛下のお気持ちをふまえ、節電には今後も皇居全体で取り組みたい」と話す。