【食べて乗り切る“暑い夏”】(中)「ぬか漬け」編。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110721/trd11072107270003-n1.htm
■新手法でサラダ感覚にも
節電の今夏、熱中症とともに気をつけたいのが夏バテだ。夏バテ防止の鍵はビタミンB1。見直したいのが、日本の伝統的な発酵食品である「ぬか漬け」。野菜をぬか漬けにするとB1の含有量が増える。「毎日混ぜるのが面倒」「においが気になる」と敬遠する人には、新しい手法も。自家製ぬか漬けで、毎日ビタミンB1を補給してはいかがだろうか。
◆手を掛けない
人間だけでなく、ぬか床も暑い夏が苦手だ。
冷暗所に置き、毎日かき混ぜて雑菌の繁殖を防ぐのがぬか床を保存するための鉄則。ところが、現代の夏といえば、住宅は気密性が高く、涼しい場所がない。旅行で長期間留守にする家庭も少なくない。
ある調査では、漬けた経験がある人のうち3人に2人が断念。手作りの難しさを物語る。
「しかし、塩分が控えられ、食べ時に合わせて漬けられるのは手作りならではです」と話すのは、ベターホーム協会(東京都渋谷区)の料理教室講師、浜村ゆみ子さん。
浜村さんらは、試行錯誤を重ねて現代の生活スタイルに合った新しい漬け方を開発し、「コンパクトぬか床」と名付けた。
たるでなく、どの家庭でもありそうなファスナー付き保存袋にぬか床を作り、食べやすく切った野菜を漬ける。それを蓋付きの密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存する。
袋で作るから1~3人暮らしでちょうど食べ切れる量を漬けられる。混ぜる作業も袋ごともむようにして空気を入れればいいので、手を汚さない。低温保存のため、混ぜるのも4、5日に1回でOK。二重に密閉するから、においも広がらない…と、従来の問題点を踏まえた良いことずくめの方法だ。
◆無駄なく食べ切る
ぬか床の塩分は従来の6割程度に抑え、漬ける前の野菜の塩もみも省いた。
「昔の保存食のイメージではなく、サラダ感覚で食べられます。極力塩分を抑えたい場合は漬ける時間を短くすればいいのです」
定番のキュウリや大根をはじめ、ゴーヤー、ミョウガ、オクラといった夏野菜もおすすめだ。
一方、少量漬けにしたのはこんな狙いもある。
「使い切れず少しだけ残った野菜の活用や、捨てる部分を再生させるのに、ぬか漬けは最適です」
ブロッコリーの軸、スイカの皮、大根の葉もおいしく漬かるという。
ぬか漬けには、夏バテ防止だけでなく、野菜を無駄なく食べ切る、伝統的な食文化の伝承といった側面もある。
【コンパクトぬか床】
《〔1〕ぬか床を作る》
熱湯200ミリリットルに塩大さじ2を混ぜて冷ます。ボウルに煎りぬか250グラムを入れ、塩水を加える。プレーンヨーグルト(無糖)150グラムを加え、真ん中から静かに混ぜ、少しずつ全体を混ぜる。ファスナー付き保存袋に入れる。
《〔2〕捨て漬け》
ぬか床を育てるため、まず捨て漬けをする。キャベツの外葉、カブや大根の葉など水分の多い野菜を使う。ぬか床に野菜を埋めて表面を平らにならし、保存袋の口を閉じる。蓋付きの密閉容器に入れて冷蔵庫で保存する。4、5日後に野菜を取り出し、保存袋の口を開けたまま袋ごともんだり、動かしたりする。これを約2週間繰り返す。
《〔3〕本漬け》
漬ける野菜を洗って水気を拭き、食べやすく切る。重ならないようにぬか床に埋め、表面を平らにならす。保存方法は捨て漬けと同じ。1~3日後に取り出し、ぬかを水で落として食べる。野菜を取り出すついでに、全体に空気を入れるように袋ごともむ。
◇
ベターホーム協会は、漬物のアイデアを『漬けもの読本』にまとめた。希望者は300円分の切手を同封し、〒150-8363 東京都渋谷区渋谷1の15の12 ベターホーム協会「漬けもの読本」係まで。
袋の中でぬか床を作り、密閉容器に入れて保存する「コンパクトぬか床」。
この時期はゴーヤーやズッキーニなどの夏野菜がおすすめだ。