【主張】興奮と感動を五輪招致に。
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/110719/oth11071903030000-n1.htm
美しい幕切れだった。サッカーの女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会で、日本代表「なでしこジャパン」が悲願の初優勝を果たした。
勝利の瞬間、歓喜の輪から一人離れ、敗れた米国選手を抱きしめる選手がいた。決勝戦で1ゴール1アシストの宮間あや選手だった。日本女子は、最後まで「なでしこ」らしかった。
世界ランク1位の米国を相手に、後半終盤に追いつき、先行を許した延長後半でも同点ゴールを決め、ついにPK戦でW杯を手にした。強く大きな米国に終始追い込まれながら、耐えに耐えた末の栄冠だった。MVPと得点王に輝いた沢穂希選手が「あきらめずに戦った結果」と語った言葉を心に刻みたい。
会場を埋めた約5万人の大観衆が、小さな日本選手のパス回しに合わせて歓声をあげた。ほおに日の丸のペイントを施した地元観客の姿も多くあった。フェアな応援がうれしかった。
日本の快進撃を、米紙USA TODAYは「東日本大震災で被災した母国のファンに朗報をもたらしたい一心でプレーしている」と分析していた。
金色の紙吹雪が舞う表彰式後のビクトリーランでは、守りの要の岩清水梓選手が大きな日の丸を掲げた。そこには「東北の皆さんへ 必ずメダルを持って会いに行きます」と書かれていた。
被災地からも、「感動した」「勇気をもらった」などの声が届いている。改めて国際大会の素晴らしさ、スポーツの持つ力を見せつけられた思いだ。
東京都は16日、2020年の夏季五輪招致へ立候補を宣言した。震災被災地での一部競技実施を検討するなど、「復興五輪」を開催理念としている。
「なでしこ」の興奮を味わったいま、五輪招致の成功を願わずにいられない。そしてこの快挙を、招致に結びつけられないか。
日本も格好のヒロインを得た。沢選手をはじめとする「なでしこ」のイレブンだ。
あとは復興に向けて本格的に踏み出すこと、招致に向けて国が一丸となることさえできれば、東京五輪の実現もみえてくる。
※一部割愛。