対中シフト実効性高めよ。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【主張】日米2プラス2




ワシントンで開かれた外務・防衛閣僚級の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の最大の成果は日米共通戦略目標を4年ぶりに全面改定し、対中シフトを鮮明に打ち出したことだといえる。

 力ずくの海洋権益拡大を進める最近の中国の覇権国家的行動は目に余る。日米を軸に韓、豪、印、東南アジアなどと連携して対中包囲網を形成する方向は、アジアの安全保障環境悪化への当然の対応であり、評価したい。

 半面、同盟強化や他国との連携に不可欠な米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設期限が先送りされたことは、日本の重大な怠慢の結果だ。さらなる同盟空洞化を防ぎ、中国や北朝鮮などへの抑止の実効性を高めるためにも、日本政府は改めて普天間問題の早急な解決に全力を投じるべきだ。

 改定された共通戦略目標では、中国に責任ある役割を促し、国際行動規範の順守や軍事活動の透明性を求めていることが特徴だ。

 日米同盟に加えて日米韓、日米豪の安保協力、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携や、日米印対話も通じて、多国間で重層的な対中シフトを築いていく戦略を明確に掲げたことは大きい。

 「航行の自由と海洋安全保障の維持」「宇宙・サイバー空間の保護」などでは名指しを控えたが、松本剛明外相は協議で「中国が東シナ海、南シナ海で摩擦を生じさせている」と指摘した。クリントン米国務長官は「南シナ海の航行問題は地域に緊張をもたらしている。日米が地域諸国と緊密に協力して対応することが重要」と応じた。閣僚のやりとりを公表する形で、中国と地域社会への明瞭なメッセージを発したといえる。

東日本大震災に伴う「トモダチ作戦」の災害救援態勢が高く評価されたほか、日米共同開発中の迎撃ミサイルの第三国移転問題にもめどをつけることができた。

 それだけに、普天間問題の先送りは極めて遺憾だ。普天間移設は抑止力を維持しつつ、地元の基地負担を軽減する唯一の現実的計画であるにもかかわらず、過去2年近い民主党政権下で迷走を繰り返してきたからである。

 北沢俊美防衛相はこうした遅れを「政権交代に基づく民主主義のコスト」と語ったが、それではあまりに無責任ではないか。地域の平和と繁栄を維持するために同盟の責任を果たしてもらいたい。