2プラス2 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








首相の退陣時期で混乱続く日本政府に重い宿題





民主党政権下で初の2プラス2は、対中抑止力の強化をてこに日米同盟を深化させる意図を鮮明にした。成否の鍵を握るのは、日本が自国防衛や地域の安定化の促進で役割を拡大できるかだ。ゲーツ米国防長官は協議後の記者会見で、最大の懸案である普天間飛行場の移設問題について「今後1年間で具体的な進展を遂げることが重要だ」と要求した。菅直人首相の退陣時期で混乱が続く日本側は重い「宿題」を背負った。

 《核技術、戦域弾道ミサイルの拡散、アクセス(接近)拒否/エリア(領域)拒否能力…》

 共同発表は防衛協力強化の前提として、米海軍艦艇の西太平洋進出を阻止する中国の能力を端的に指摘している。昨年2月に本格化した同盟深化をめぐる日米協議において、対中認識で完全に一致した証しだ。

 中国を念頭に米軍は海空・宇宙・サイバー領域の全能力を活用した「統合エア・シー・バトル」で対抗する戦略を打ち出したが、共同発表にはそうした分野での協力もちりばめた。日米豪、日米韓の共同演習やインドとの対話促進も掲げ、自由主義連合による「中国包囲」戦略も提起した。

 ただ最も重きを置いたのはより根本的な課題だ。日米協力強化の筆頭には《2国間の計画を精緻化する努力》《米軍と自衛隊による日本国内の施設へのアクセスの改善》が掲げられた。

日本有事での「共同作戦計画」と、放置すれば日本の平和に影響を与える周辺事態での「相互協力計画」で、米軍が使用可能な空港・港湾を詰める作業の必要性を明記したものだ。

 作業加速は平成9年の「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)策定以降、幾度となく日米共同文書でうたわれてきた。だが、有事アレルギーの残る日本の関係省庁や自治体の腰が重く、検討は停滞。防衛省幹部は「インド洋など国際平和協力活動を拡大したのに比べ、同盟の根幹をなす事態への備えが疎かだった」と自戒を込める。

この状態を放置すれば中国や北朝鮮の挑発に対処できない。日本側は待ったなしで検討を進める必要があるが、領土意識が希薄な菅政権下では昨年、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件などが相次いだ。

 加えて普天間移設実現の見通しはたっていない。北沢俊美防衛相は会見で、自公政権時代のV字形滑走路に戻ったことについて「政権交代に伴う民主主義のコストだ」と正当化したが、米側は民主党政権の実行力を疑問視している。

 米空母艦載機の陸上離着陸訓練の馬毛島移転も地元自治体の反対から「第二の普天間」となりかねない。

 《(震災の)経験から学び、将来における多様な事態に対応するための日米両国の能力を向上させる決意を共有した》

 トモダチ作戦で展開した自衛隊と米軍の協力は、有事での日米共同対処に援用できることも特記した。日本側は「決意」を重くかみしめ、実効性を担保する必要がある。

                             (ワシントン 酒井充、半沢尚久)