相互主義で規制すべきだ。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【主張】中国の土地取得




日本政府は中国で土地を取得できないが、中国政府は日本で自由に買っている。国家間の相互主義に照らして著しく不公平である。

 外国政府の土地取得は安全保障にも影響する。日本政府は何らかの制限措置を取るべきだ。土地制度の欠陥を見直し、早急に国益を守るための法整備を講じなければならない。

 この問題は先月の衆院外務委員会で取り上げられた。中国大使館が隣接する都心の一等地約5千平方メートルを購入したことに、小野寺五典議員が「日本の土地はどうなるのかと心配だ」とただし、土地の広さや用途にも疑問を呈した。松本剛明外相は「条約、法律の面から反対する理由はない」と答えたが、その危機感の無さに驚く。

 そもそも政府が積極的に中国の土地購入相談に応じ、支援したこと自体があべこべではないか。外務省は「外交使節団への協力を定めたウィーン条約に基づく対応」というが、相互主義にのっとって取得を止めるのが筋だろう。

 中国は領事館用地として名古屋市の国有地と新潟市の小学校跡地(市有地)取得にも動いている。買収交渉は昨年秋の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件以来、地元で反対運動が起きて中断した。

 よりによって、なぜ公有地が買収対象なのか。名古屋では財務省が随意契約で売却をめざした。法的に問題はないにせよ、腑(ふ)に落ちない対応である。

中国にある日本大使館や領事館はすべて賃貸だ。一方の中国は在日公館計7カ所の中で大使館を含む4カ所を所有ずみだ。相互主義に基づけば、在日本の中国公館も賃貸でなければ平等性を欠く。

 参考になるのは米国の対応だ。中国政府には米国内で土地所有を認めていない。外国政府の土地所有は相互主義を原則とする外交使節団法で判断するためだ。外国政府や外資による投資が安全保障や公共の利益を阻害すると判断されれば、国が強制的に審査する制度もある。ぜひ見習うべき点だ。

 中国資本による日本の水源地買収なども表面化し、対策として所有者変更届け出を義務づける森林法改正案など2法案が議員立法で今国会に提出された。だが、成立の見通しは立っていない。

 菅直人首相は国会答弁で法務省に研究を指示したはずだ。国益や安全保障上重要な国土の保全について無策は許されない。