首相は一刻も早く退陣を。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【主張】復興基本法案決着




菅直人首相の退陣表明は、東日本大震災対応に一定のめどがついた段階とされていたが、その柱である復興基本法案が来週中にも成立の見通しとなった。

 既に退陣を予告した首相は「死に体」に陥っている。早期に身を引くことに否定的見解を示し、「ペテン師」などと批判されて国民の信を決定的に失っている。一刻も早く辞任することが国家と国民の利益にかなう。

 復興基本法案は震災の復興体制を定めるものだ。民主、自民、公明3党による法案修正協議の結果、復興庁設置や復興特区の整備、復興債発行などが正式に盛り込まれることになった。

 新官庁となる「復興庁」については、「可能な限り早い時期に法制上の措置を講じる」とした。当面は首相を本部長に全閣僚が加わる復興対策本部が対応し、「復興庁設置法案」の成立を経て復興庁に移行する。

 問題は、復興を強力に推進する権限をいかに復興庁に集中させるかだ。震災復興担当相の下に各省庁の垣根を越えて任務を行う官僚組織などを位置付け、オールジャパンで国難の克服にあたる機関としなければならない。

 復興債については「償還の道筋を明らかにする」ことが明記される。第2次補正予算の財源も含め、本格的な復興の財源をどうするかは定まっていない。増税が日本経済にどんな影響を与えるかを含めた政治判断も求められる。

首相は退陣の前提となる「一定のめど」に、2次補正も挙げた。閣僚に早期編成を指示し、自ら成立させようとしている。だが、自民、公明両党は基本法案成立後の退陣を求め、菅首相の下では2次補正を含め、基本法案以外の審議に応じない姿勢だ。

 平成23年度の約37兆円の赤字国債発行に必要な公債特例法案も成立のめどが立っていない。3月末までに決着しておくべきもので、いまだに成立させられないこと自体、菅内閣の重大な失政だ。

 マニフェスト(政権公約)の修正にも動かず、復興構想会議に2次補正の中身を一任してしまった菅首相には、2次補正を担う資格はないだろう。

 菅首相は7日の閣僚懇談会で退陣時期を「常識的に判断したい」と述べたが、これ以上の居座りは自らがいう「復興のめど」を遠のかせることにしかならない。