【新潟の酒造り】
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110522/trd11052212010000-n1.htm
酒米「菊水」の田植え。
新潟県を代表する地場産業「酒造業」。大きな酒造会社が立ち並ぶ京都・伏見、兵庫・灘とは比べようもない、小さな蔵元が多いが、県下には100近い特徴的な蔵元がひしめき、自慢の酒を造っている。
そんな蔵元のひとつ、アルミ缶入りの生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」を全国に出荷する菊水酒造(新発田市)で、こだわりの酒米作りが始まった。
ゴールデンウイーク初日の4月29日朝、あいにくの小雨の中、ジャージーやカッパに長靴姿の約120人が菊水酒造の工場前に集まった。地元の協力農家から「苗2本をまとめて下の葉が水に隠れないように植えてください」といった指導を受けて工場裏の田んぼへ。田植え準備が整った2反(たん=1反は1000平方メートル弱)の圃場(ほじょう)の一角に『酒米「菊水」田植えイベント』と書かれた横断幕がかけられていた。
「菊水」とは昭和12年に愛知県で開発された酒米。名酒米として知られる「雄町」が親でありながら、穂丈が短く育てやすいなど優れた性格を持ち、後年、人工交配によって「五百万石」を生み出す元となった。しかし、戦中の食糧難などでいったん姿を消し、平成9年に地元農家グループが手に入れたわずか25粒の種籾から60年ぶりに復活したという。
菊水酒造は、社名と同じ名前を持つこの米を使って12年冬から「酒米菊水純米大吟醸」を造り、今年は復活から15年目にあたる。毎年、社員が田植えの段階から携わり、近年は社員の家族、取引先の希望者らを交えて春の田植え、秋の稲刈りイベントを続けているとか。
高沢大介社長はこの日、「東日本大震災の被災地復興を願いつつ、こうして田植えができる喜びを味わって大切に苗を植え、豊かな実りが得られますように」と願いを語っていた。
田んぼの向こうに見えるのは菊水酒造の工場
これが酒米「菊水」の苗