本末転倒 「宿題大綱」の実態露呈。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





【尖閣占領シナリオ】



 防衛省が、中国による尖閣諸島占領と離島侵攻を目の前の脅威と直視し、課題の検証に入ったことは一定の評価ができる。ただ、そのプロセスは本末転倒だ。シナリオ研究で課題を洗い出し、保有すべき防衛力と運用構想を「防衛計画の大綱」に反映させるべきだったのではないか。

 

 防衛省は課題検証を「防衛力の実効性向上のための『構造改革』」と称しているが、実際には大綱策定時に積み残したテーマを整理する作業にほかならない。

 

 列挙したテーマは25項目。大綱に中身が何も詰まっていないことを認めたに等しい。省内では「宿題大綱」と揶(や)揄(ゆ)される。

 

 25項目にはシナリオ研究に関係する「機動展開態勢」と「警戒監視」も含まれる。大綱の柱として打ち出した「動的防衛力」の根幹をなす項目だが、その実効性すら担保されていなかったわけだ。それもひとえに民主党政権が米軍普天間飛行場移設問題に右往左往し、大綱の検討に本腰を入れなかったためだ。

しかも政権はなお迷走を続ける。防衛省政務三役は当初、シナリオを尖閣占領にとどめ、宮古島などへの侵攻は想定すべきでないと脅威を過小に見積もった。東日本大震災への対応で約1カ月の中断を経て検討が再開されると、今度は南西諸島での作戦展開中に震災やテロ攻撃が同時発生する事態も想定に入れるよう命じてきた。

 

 その間にも中国に遠慮はない。震災発生後も海自の艦艇に航空機やヘリを異常接近させ、上海沖では演習も実施した。昨年の演習では艦艇10隻を沖縄本島と宮古島の間を通過させたこともあり、海自は艦艇を震災対応からシフトさせるかどうか踏み絵を迫られた。


  抑止力と対処力の向上は待ったなしだが、民主党政権には荷が重すぎるようだ。実効性が薄い現在の防衛大綱の廃止と再策定が早晩政治課題に浮上するとの指摘もある。


                                          (半沢尚久)







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            http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110509/plc11050901300001-n1.htm