天皇、皇后両陛下は22日、東日本大震災の被災者を見舞うため、日帰りで茨城県北茨城市を訪問された。両陛下が被災地に入られたのは旭市に続き2カ所目となった。
両陛下は、津波で大きな被害を受けた大津漁港をご視察。近隣の数百人が並んで迎え、口々に「ありがとうございます」と声があがった。両陛下はあちこちが割れている地面を歩きながら、「お体は大丈夫ですか」「学校は楽しいですか」などと声をかけて回られた。
陸に置かれている船を見ると、陛下は「あの船は使えるの?」「海に沈んでいたんですか?」と漁協関係者に質問された。
両陛下は、死者が出た住宅と、行方不明者がいる海に向かって、2回にわたって黙礼された。その後は、家屋が損壊した住民らが避難する市民体育館も訪問された。
橋本昌知事らによると、昼の会食で陛下は、福島第一原発の放射性物質(放射能)の風評被害を心配しながら、「しっかりとした知識に基づいて行動してほしいですね」などと話されたという。
また、会食の弁当には地元で水揚げされた魚料理が入っていたが、陛下は「コウナゴは入っているんですか」と尋ねられたという。コウナゴについては、暫定基準値を上回る放射性物質が検出されたため、出漁を自粛するなどの影響が出ている。
北茨城市では今回の震災で5人が死亡、1人が行方不明となり、茨城県内で最も人的被害が大きかった。
避難所の市民体育館で被災者に声をかけられる天皇、皇后両陛下
=22日午後3時39分、茨城県北茨城市(代表撮影)
東日本大震災で犠牲者が出た住宅付近で、じっと黙礼される天皇、皇后両陛下
=22日午後2時36分、茨城県北茨城市の大津漁港(代表撮影)