国会とは何をするところだろうか。参議院の公式ホームページを開いてみると、「国会は、国民に選ばれた代表者が話し合って、国民のためにさまざまなことを決めていく大切なところです」とある。
▼「さまざまなこと」の中には、法律づくりや予算案の議決だけでなく、税金を国民からどれだけとるか決めることも当然、含まれている。東日本大震災という国難に立ち向かうため、国会では復興策やその財源をめぐって連日、激論がかわされていると思いきや、どうやらそうではなかったらしい。
▼政府からはいまだに震災対策のための法案が国会に一本も提出されていない。急を要する第1次補正予算案さえ、来月にずれこみそうだという。地震当夜にアロマ風呂でくつろいだ女性議員もいたとかで、永田町はこの国とは別の時間が流れている。
▼強いリーダーシップをお持ちの菅直人首相は、国会の現状を憂えるあまり、もうひとつの国会を作りたかったのだろう。そうでなければ、震災復興策の青写真を検討する政府の「復興構想会議」の議長が発足早々、「復興税」導入をぶちあげはしまい。
▼東北や茨城、千葉の被災者を助けようと義援金は日本赤十字と中央募金会分だけで約1500億円も集まり、増え続けている。赤ちゃんからお年寄りまで1000円以上ずつ出している計算だ。だからといってすぐ増税、では復興に立ち上がろうとしている企業や個人の足を引っ張りかねない。
▼五百旗頭真議長は、政府の覚えめでたい学者だが、経済はど素人だ。第一、大事な増税の話を学者を隠れ蓑(みの)にするとは、国政を預かる首相として恥ずかしくないのか。危機に対処できない政治家に議員バッジは要らない。