【統一選】橋下知事が敗北宣言・白紙化、連携協議へ。
統一地方選の大阪府議選と大阪、堺両市議選で躍進した地域政党「大阪維新の会」(維新)代表の橋下徹知事は11日午前、投開票後初めて記者団の取材に応じた。選挙結果について、大阪市議選で目標とした過半数に届かなかったことを挙げ、選挙結果を「敗北」と総括する一方、「他党との話し合いで、どこが折り合えるのかを協議したい」と述べ、大阪都構想をいったん白紙化した上で、他党との連携協議に入る考えを示した。
■目標の過半数、大阪市議選で届かず
維新は大阪府議選(定数109)で過半数の57議席を獲得。大阪市議選(同86)では過半数に達せず、堺市議選(同52)は過半数を擁立できなかったが、それぞれ33議席と13議席を得て議会第一党となった。
ただ、橋下知事は「大阪都構想は支持されなかった。構想は僕の考えた通りにならない」ととらえ、これまで維新が訴えてきた区長公選制や府市の役割分担、大阪都の名称なども含めて協議し直す姿勢を示した。
橋下知事は「府議会では支持を受けたが、それでもぎりぎり。これまでは民意の後押しも必要だったので戦闘モードだったが、野党のみなさんも府民の代表。戦は終わったので、きちんと話し合いをしたい」と述べた。
“敗因”については「自分の責任が第一だが、有権者が政治的判断をするにはメディアが成熟しなくてはならない」と話し、「有権者にもっと説明しろといっても無理。説明責任はメディアにある。それができないなら報道の自由を与える意味はない」とした。
投票率が伸び悩んだことについては「僕の責任。残念であり力不足で敗北の原因の一つ」とした。
一方で「大阪市役所の役人連中だけは許さない。責任を意地でも取らせる」とも話し、平松邦夫大阪市長との協議については「政治と行政の役割分担を理解しておらず、話し合いは厳しい」とした。
さらに、今秋予定される大阪市長選に維新の候補者を擁立する方針を改めて示したが、自身の立候補については「決める段階にはない」と述べるにとどめた。
裏切り?懐柔?踏み絵?
都構想“白紙”宣言 読めぬ橋下知事の真意。
地域政党「大阪維新の会」が躍進した大阪府議選と大阪、堺両市議選から一夜明けた11日、同党代表の橋下徹知事は、神妙な口調で選挙戦を「敗北」と評し、大阪都構想の白紙化にまで言及した。周囲では、他党との連携協議を前に「戦闘」から協調路線への転換を強調する交渉術ととらえる向きもあるが、わかりにくいメッセージに、有権者からは「民意への裏切りだ」と批判も上がった。
「大阪市議会の皆さんに話し合いのテーブルについてもらうことが大事。白紙は撤回ではなく、一緒に議論しようという他党への呼びかけだ」。維新府議の一人は、橋下知事の発言の狙いについて、あえて「白紙」とすることで協議しやすい環境づくりをしていると解説した。
しかし、自民府連の幹部は「府議会で過半数を取っても『負けた』と表現するなど白々しい。意図するところは不明だが、都構想を取りやめるつもりではないだろう」。大敗した民主府連の幹部は「知事の出方が読めず、こちらもうかつに発言できない」と話した。
また、大阪市の幹部は「余裕の裏返し」とみる一方、真意は「よくわからない」。別の幹部は「特に市議会との連携を模索しているのだろう」と分析する。
一方、有権者の受け止めは複雑だ。枚方市の人材派遣業の男性(37)は「白紙化を言うのは、大阪都構想を期待する民意への裏切りだ。他党との連携を重視し、市民の思いを軽視している」。堺市堺区の飲食店経営者の男性(62)は「勝っておごらずという策だと思う」と話した。
【用語解説】大阪都構想
大阪府と大阪市などの自治体組織を再編し、住民に身近な行政を担当して中核市並みの権限と財源を持つ基礎自治体の特別区と、空港行政や産業振興など広範囲にわたる問題を担当する広域行政体の大阪都をつくる構想。特別区の区長は公選で選び、議会も設置するとしている。