村山元首相のインタビュー本と辞めた理由について。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





「阿比留瑠比・国を憂い、われとわが身を甘やかすの記」 より。




2011/04/08 13:10



 昼のNHKニュースを見ていたら、天皇 、皇后両陛下が各地の東日本大震災の被災者避難所を訪問されるというニュースが流れていました。大変ありがたく、厳しい生活を強いられている被災者の皆さんの励みにも慰めにもなろうと思う次第です。


私は社会部時代に宮内庁 を担当して両陛下の地方行幸啓 にも何度か同行取材しましたが、首相が行くのとは地域住民の歓迎の度合いが全然異なりました。海外同行取材の場合でも、公式・非公式訪問の差違などはありますが、日本の首相が来るより両陛下が訪れられるというのは、迎える相手国の気合いの入り方が違うように感じたのを覚えています。


 で、本日午前のことですが、首相官邸の記者クラブにいると、元清美首相補佐官が予定していた本日からの宮城県出張が取りやめになったというペーパーが配布されました。昨夜、震度6強の大きな余震があったので、この時期に行くと迷惑をかけるとの配慮が働いたのかどうか。


 また、11日の震災1カ月を前に、弊紙政治部ではこれまでの政府・首相官邸の震災対応の検証記事を書くための取材をあれこれしているので、本日は阪神・淡路大震災 に関する村山富市首相の言動を調べていました。


 まあ、そんなこんなからの連想で、村山氏に元氏がインタビューしてまとめた「そうじゃのう…村山富市『首相体験』のすべてを語る」(第三書館)という本を久しぶりに手にとったところ、こんな記述があったので引用します。元氏が村山氏に突き放されているのが興味深かったので。


 元 しかし、いかがでしたか。天皇 制について、私は個人的に反対。やっぱり抵抗があるというか、気持ち的に、何か天皇 というのは…。


 村山 それは僕らとあなたはだいぶ違うんですね。別にそういう意味の抵抗はない。象徴としての天皇は、もう認めているわけだ。憲法 擁護の立場だから、それはもう…。(P65)


 また、元氏は村山氏が首相として自衛隊の観艦式に出席したことについて、こんな違和感も唱えていました。ショックねえ。


 元 そうか。テレビで見ているほうは、やっぱり村山さんが自衛隊の前で敬礼とかしちゃって、私なんかすごくショックだったんです。


 村山 もう割り切っちょる(P123)


 この本はけっこう面白くて、民主党 についても次のような会話・評価がなされていました。この体質は今も変わりませんね。


 元 (前略)民主党 のほうは労働組合が皆びたっとくっついている感じで、昔の社会党みたいな感じに私なんか受けとれるんですが。


 村山 (前略)だから、うちの党から割れたやつが民主党 の基盤だと。それだけのことでしょう。(P218~219)


 …まあ、人も政党も変わるものですが、三つ子の魂なんとやら、ということもありますしね。話は飛びますが、菅直人首相が設置を表明した「復興構想会議」は、どうも議長は五百旗真氏、副議長は御厨貴氏になりそうですね。それにしても、なんで菅氏の人事はいちいちこう人の気持ちを逆撫でするようなものばかりなのか。

 村山氏は、この本の中で首相を辞めた理由についてこう述べています。

 「ふらふらだったとか、そういうことはない。ないけど、やっぱり何というかな、もう自分の能力の限界というかな。総理の仕事をする能力というのは、個人の能力もあるし、支える政治基盤の力もある。そういうものが総体的、総合的にあって仕事がなされるわけじゃからね。だから、そういう全体を構成する体制を考えた場合に、とてもじゃないけれども、これ以上やることはよろしくない。やめたほうがいいという気持ちじゃけんね」(P154)

 私は村山氏を全く評価していませんし、あたら貴重な生命・財産を失った震災対応にしろ、日本外交の手足を縛る村山談話 にしろ犯した罪はとてつもなく大きいと考えています。ただ、「己を知る」という一点においては、菅首相より優れているような気がします。いや、まあそのほかにもいろいろ優れているのかもしれませんが。なにせ比較対象があの菅首相ですから…。