皇太子ご夫妻は6日、東日本大震災で被災した福島からの被災者ら約130人が生活する東京都調布市の味の素スタジアムを訪問された。3月末の天皇、皇后両陛下に続く都内の避難所ご訪問で、病気療養中の皇太子妃雅子さまが、公的な活動で皇居外に外出されるのは昨年10月以来、約半年ぶり。約1時間の滞在予定を約45分間オーバーし、熱心に被災者の話に耳を傾け、励まし続けられた。
「何年生?」「何の教科が好きですか?」「外で遊ぶことはありますか?」。ご夫妻は子供たちにも優しく声をかけられた。友達と連絡が取れないという話をきいた雅子さまは「離ればなれなんですね…」と心配そうに話された。
「記念撮影してもよろしいですか。携帯電話しかないんですが」。そんな申し出にも、ご夫妻は快く応じられた。ご夫妻を囲むように家族が並んだ。
雅子さまは疲れた様子を見せず、皇太子さまとともに、ひざを床について被災者と会話を続けられた。被災者が雅子さまの体調を逆に気遣う場面もあり、雅子さまは「ありがとうございます」と返された。
涙を流しながらご夫妻と話していた、福島県富岡町の小林順子さん(39)は「話を聞いていただいてうれしかった。これまでこらえていたが、心がほぐれました。私たちの目線に立って話を聞いてくれる方たちでした」と話した。
家族4人でご夫妻を迎えた、同県浪江町の高松せい子さん(60)は「体調が優れないのに、雅子さまに来ていただいた。それがすごくうれしかった。だから私も『頑張ります』と言いました」。
宮内庁によると、ご夫妻は、被災者を見舞いたいという強いご意向を持たれていたという。お住まいの東宮御所では「被災者と困難を分かち合いたい」とする両陛下と同様に、自主的に電気の使用を控える取り組みをされているという。
両陛下は3月30日、避難所となっている東京都足立区の東京武道館を訪問されている。秋篠宮ご夫妻も、7日に東京ビッグサイトを訪問される予定。
避難所になっている味の素スタジアムを訪問し、被災者と話される皇太子ご夫妻
=6日午後、東京都調布市(代表撮影)