【社会部発】被災地から 米兵「トモダチ作戦誇り」
山と積まれた支援物資、洋上に浮かぶ艦船の威容、飛行甲板から飛び立つ大型ヘリの轟音(ごうおん)…。東日本大震災の救援活動「オペレーション・トモダチ(トモダチ作戦)」にあたる在日米軍を密着取材し、見るものすべてに圧倒された。
厚木基地に到着するやいなや、全身の放射能測定を受けた。「東京から来た」と伝えても、頭上から手、足の裏までくまなく機器をあてられた。原発についての日本国内の「情報」が信用されていないように思えた。
微妙な距離感は三陸沖に展開している強襲揚陸艦「エセックス」でも感じさせられた。集中治療室や手術室を完備した同艦は、「病院船を除いて海上最大の病院施設」だという。
米軍の上官らは「日本から要請がありさえすれば、すぐにでも支援できる準備はあるのだが…」と表情を曇らせた。伝わってきたのは、震災直後にこうした医療施設を活用できなかったもどかしさ。日本政府と米軍の間に吹くすきま風、そして、両者の連携に不安がよぎった。
それでも、任務に当たる隊員らは「日本人の助けになるのがうれしい」と口をそろえ、「日米の絆、友情の証し」だと強調する。隊員の誰もが「トモダチ作戦の任務は誇り」と語るあまり、当初は本心かどうか疑ったが、睡眠時間を削り、早朝から任務に就く隊員たちの姿を見て、自分の邪推を恥じた。
「一日も早く日常を取り戻すために」。ドック型揚陸艦「トーテュガ」で出会った女性隊員、ヴェロニカ・ケネディ少尉(22)は、被災地の惨状に心から同情し、微力でも復興のために尽力したいという。その「心」がうれしかった。
そんな米軍隊員のジャケットの右腕にあったのは、「友」と漢字で書かれたワッペンだった。
政治家が「友愛」などと語るとこそばゆいが、「友」に託した米軍の隊員たちの思いは素直に伝わり、胸を打たれた。報道後、ワッペンはチャリティー販売され、すでに1万枚以上が売れたという。多くの日本人が米軍の真心からの救援活動に心を動かされたのだろう。
「ともだち」。ケネディ少尉が平仮名で書いてくれたメモは私の宝物だ。
(大竹直樹)
辻本清美の悪行・続報。