【東日本大震災】9日ぶり救出の高校生、祖母が退院。
東日本大震災で倒壊した宮城県石巻市の民家から9日ぶりに救出された高校生、阿部任(じん)さん(16)の父親、明さん(57)が3日、任さんと一緒に救出された寿美さん(81)が退院したことを明らかにし、「救出は幸運なことが重なって、奇跡だったと実感している」と改めて“奇跡の生還”を振り返った。
明さんによると、任さんは1日、寿美さんは先月24日に石巻赤十字病院を退院した。任さんは左足側部が腫れていて松葉づえを使用しているが、2人とも健康状態は良好で、石巻市内の親族方で静養している。
明さんは仙台市内で針きゅう院を経営しているため、この日、退院した任さんと初めて会った。任さんは救出劇を冷静に受け止めているようで、「音楽を聴いて、リラックスしていた」。
任さんが明さんに語ったところによれば、震災時には隣の民家の壁が迫るほど、「グシャッとつぶれた」。津波に流された感覚はなく、家屋に閉じこめられても「必ず助かると思っていた」という。
任さんは仙台市内の東北生活文化大学高で美術を学んでおり、「仙台に戻りたい」と希望している。明さんは「友達もいるし、普段の生活に戻りたいようだ」と気遣った。
一方で、いまだに多数の行方不明者がいることに思いを寄せ、明さんは「何か私たちにできないかと考えている。助けられた分をお返ししたいという気分でいっぱいです」と語った。
辻本清美の悪行・続報。