【東日本大震災】
放射能漏れ可能性も、東電が緊急事態。
原子力安全・保安院は13日午前5時35分からの会見で、東日本大震災の被害を受けた東京電力福島第1原発3号機へのすべての給水ができなくなり、原子炉の冷却機能がストップしたことを明らかにした。東京電力は同日5時10分に、原子力災害対策特別措置法15条に基づき、政府に緊急事態を通報した。
原子力安全・保安院によると、3号機は炉心を冷却するために、外部から水をくみ上げる高圧式の注水装置を使っていたが、冷却効果が働き圧力が低下。この装置は使えなくなった。通常ならば低圧式の注水装置に切り替えるが、バッテリー切れとなり給水が全面的に停止した。
地震の影響で原子炉は自動停止したものの、核燃料の熱が出続けているため、炉心の冷却が止まると、放射能漏れの可能性が出てくる。東電福島第1原発1号機は水位が下がったことで炉心が露出し、溶融を始めている可能性が浮上。付近で放射性物質が検出された。廃炉も視野に原子炉への海水の注水に踏み切ったばかりだ。
ただ、原子力・安全保安院の根井寿規審議官は「3号機は水位が安定し炉内の圧力が低いことで、ただちに危険な状況になるわけではない。次の手立てを考える」と話している。東電福島原発は新たな火種を抱えることになった。
爆発で外壁の一部が吹き飛んだ、福島県の東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋
=12日午後(東京電力提供)