伊藤博文と安重根 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 



新任の松本剛明外相が明治の元勲・伊藤博文の玄孫ということで、予想通り韓国では関心の的になっている。伊藤博文は明治時代、日韓併合(1910~45年)を進めた人物として韓国ではつとに悪名高い。松本外相は母方がその血筋というが、血縁重視の韓国社会だけに格好の話題になっている。

 本人は日韓両国政府の肝いりでやっている「日韓フォーラム」のメンバーで、韓国側メンバーによるとフォーラムでは自らを伊藤博文の子孫と自己紹介し、博文の暗殺犯で韓国では歴史的偉人になっている安重根についても好意的(?)な口ぶりだったという。

 日本で千円札の肖像画に伊藤博文が登場したとき、韓国では「ケシカラン!」といって騒いだ。韓国では切手に安重根が登場したことがあるが日本では別に関心はなかった。日韓で人物評価など歴史認識の違いはあって当然である。

 興味深いのは民族的英雄・安重根の子孫の行方だ。息子は戦前、伊藤博文の息子に会った際、暗殺事件を謝ったことがあるとして戦後、「反逆者」と非難され、ひっそり亡くなった。

 その後、その夫人と子供は米国に移住。現在、唯一のひ孫は「トニー・アン」といって米国人だという。安重根は北朝鮮生まれだったが子孫は故郷喪失者になってしまったようだ。(黒田勝弘)