「黒田裕樹の歴史講座」 より。
つまり、陛下は「新日本建設ニ関スル詔書」において、天皇と国民との絆は神格化によらずとも相互の信頼と敬愛とによって固く結ばれていることや、我が国の民主主義は外国によるものではなく、明治天皇の頃から我が国独自(どくじ)で育て上げてきたものであるという、いわば当然のことを言葉とされることで、終戦で傷ついた国民の誇りを失わないようにと配慮(はいりょ)されておられるのです。
それなのに、マスコミや出版社の多くが「天皇が神格化を否定した」という、詔書のほんの一部に過ぎず、かつ陛下の本当のご意思とは全く異(こと)なる部分だけを取り上げて「人間宣言」ともてはやし、ついには歴史教科書にまで記載(きさい)されてしまっているのです。なぜこのような誤解(ごかい)が生まれてしまっているのでしょうか。
さて、同じ昭和21年の正月における歌会始(うたかいはじめ)において、昭和天皇は以下の御製(ぎょせい、天皇による和歌のこと)をお詠(よ)みになっておられます。
「ふりつもる み雪にたへて 色かへぬ 松ぞ雄々(おお)しき 人もかくあれ」
終戦直後の絶望感が漂(ただよ)う中であっても、雪の中の青々とした松のように国民も強く生きて欲しいという、昭和天皇の国民への思いやりが込(こ)められています。またこの頃、陛下は国民を慰(なぐさ)めるためには自分がどうすればよいのかをお考えになり、そのための行動に移ろうとされておられました。
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