【写真劇場】日米合同上陸訓練
■シーン1
時刻はまもなく午後10時。水温およそ8度。真っ暗闇の海にスカッドスイマー(先遣水泳要員)3人の頭部が暗視スコープのなかに確認できた。体勢を低くして波をよけながら、海岸線にたどり着き、3人は銃を構えながら上陸した。特殊な光を使って沖で待機している仲間に合図すると、5人が乗船したゴムボートが静かに後に続いた。
米カリフォルニア州サンディエゴ近郊のコロナド海軍基地で2月に行われた陸上自衛隊西部方面普通科連隊(長崎県佐世保市)の夜間上陸訓練だ。部隊は南西諸島を含む島嶼(とうしょ)防衛が任務で、今回の訓練は敵国の部隊に占拠された離島の奪還までも視野に入れたものとなった。
こうした日米合同訓練は数年前から行われてきた。だが、昨年9月に尖閣諸島で中国漁船衝突事件が起き、今回の訓練は日米同盟による島嶼防衛の意思を内外にアピールする好機ともなった。
■シーン2 「鉄の拳」は海兵隊との絆の証し
海岸での訓練は朝から深夜まで続き、食事や休憩も浜辺でとる徹底ぶりだ。
昼間の訓練は水泳部隊とボート部隊に分かれて行われた。水泳部隊ははいながら海岸線まで近づいき、上陸して全方位を確認。迷彩色をカムフラージュするため、砂浜で寝転がり、互いに砂をかけ合って身を隠した。ボート部隊はエンジンをつけた状態と、音を出せない状況下でオールを使った手こぎで上陸する訓練を繰り返していた。
海水でぬれた隊員の装具は20キロ近い重さがあるという。水泳での上陸訓練を終えた若い隊員は「ウエットスーツを着てるから寒さは大丈夫です。米海兵隊から軍人としての精神面を見習いたい」と、帽子から滴る海水をぬぐいながら答えた。
一連の日米共同訓練は、固い絆を結ぶとの意味を込めて「アイアンフィスト」(鉄の拳(こぶし))と名付けられた。陸上自衛隊西部方面普通科連隊の黒沢晃連隊長(48)は「わが隊は高度な技術を持ち、米軍にも劣るつもりはないが、米軍との連携や信頼関係は無形の戦闘力になる」と力強く話した。
黒沢連隊長は、米海兵隊を率いるハドソン大佐と一緒にウエットスーツを着てボートに乗り込み、陸上自衛隊と米海兵隊の親密さを示すパフォーマンスもみせた。大きな波を何度もかぶる指揮官たちの姿に、隊員たちは必死に笑いをかみ殺していた。
コロナド基地での上陸訓練のほか、ペンデルトン基地では、港湾施設がない海岸でも上陸可能なLCAC(上陸用エアクッション艇)を使った訓練や、戦車を活用した戦場での領地確保の訓練なども行われた。
(写真・文:写真報道局 鈴木健児/SANKEI EXPRESS)
【写真劇場】エンジン音を出すことができない地域では、手こぎボートでの上陸となる。夕日を浴びながらの訓練が続いた=2月10日、米カリフォルニア州サンディエゴ近郊(鈴木健児撮影)
【写真劇場】息を合わせ、一気に上陸するスカッドスイマー。昼間の訓練で互いの呼吸を合わせた=2月10日、米カリフォルニア州サンディエゴ近郊(鈴木健児撮影)
【写真劇場】上陸後、体勢を低くして周囲を確認する隊員=2月10日、米カリフォルニア州サンディエゴ近郊(鈴木健児撮影)
【写真劇場】ウエットスーツを着てボート訓練に参加した黒沢連隊長(左)とハドソン大佐(右)。体を張って協調関係を示した=2月10日、米カリフォルニア州サンディエゴ近郊(鈴木健児撮影)
【写真劇場】米カリフォルニア州サンディエゴ近郊のコロナド基地、ペンデルトン基地
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