【産経抄】3月2日 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





日本の国会議員は働き者である。深夜まで熱心に論議しても飽きたらないようで、きのうは午前2時から本会議を開き、予算案の採決を終えて散会したのは3時半をまわっていた。日ごろ、議場で居眠りして体力を温存しているセンセイ方が多いとはいえ、ご苦労な話である。

 ▼ご苦労でないのは、病気でもないのに本会議を欠席した16人の民主党議員たちだ。彼らは小沢一郎元代表に近く、「予算案の内容は民主党の政権公約(マニフェスト)とかけ離れている」と執行部に反旗を翻した。ならば、堂々と反対すべきだった。

 ▼憲法には「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と書いてある。国民生活に直結する予算案に賛成も反対もせず、職場放棄するとはなんたることか。国権の最高機関メンバーとしての自覚がないどころか卑怯(ひきょう)者と誹(そし)られても仕方ない。

 ▼にもかかわらず、上司の説得を振り切って職場放棄した彼らに下された党の処分はびっくりするほど軽かった。さすがにリーダー格の議員は6カ月間の党員資格停止となったが、その他は厳重注意という名の「無罪放免」だ。

 ▼「イラカン」と呼ばれた菅直人首相も人間がまるくなったのかといぶかっていたら、さにあらず。16人すべてを厳罰にすれば、たちまち新党をつくられ、民主党分裂が現実になるのを恐れたんだとか。

 ▼その昔、国鉄当局は、順法闘争という名のサボタージュに参加した組合員に、ほんの一部を除いて甘い処分しかできなかった。組合はますます増長し、国民に見放された国鉄は滅びてしまった。信賞必罰もろくにできない民主党は国鉄と同じ運命をたどる、と書けば国鉄OBに失礼かもしれないが。