慶祝 皇太子殿下51歳のお誕生日。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





国民の一人として、心よりお喜びをもうしあげます。




「若い世代、世界に羽ばたいて」



皇太子殿下は23日、51歳の誕生日を迎えられた。これに先立ち、お住まいの東宮御所で記者会見に臨まれた皇太子殿下は、若者の就職難や、海外留学に消極的な「内向き志向」を案じ、「若い世代の皆さんには世界のさまざまなことに関心を向け、広く世界に羽ばたいていただきたいと思います」と期待を述べられた。




【皇太子殿下51歳ご会見全文】


【問1】

 この1年、国内では「消えた高齢者」問題など、暗い世相を反映した社会問題や事件があった一方で、全国の児童施設に「タイガーマスク」の主人公を名乗る人たちから善意のプレゼントが相次ぐなど、人の温かさを感じさせるニュースもありました。この1年を振り返り、殿下の印象に残った社会の出来事と、ご自身の50代最初の年がどのような年だったかお聞かせください。また、天皇、皇后両陛下のご意向で英国のウィリアム王子の結婚式へのご夫妻での出席が検討されているとのことですが、訪英についてのお考えもあわせてお聞かせください。

  


皇太子殿下 

 この一年を振り返りますと、日本では昨年の夏、各地で猛暑が続き、逆に冬には厳しい寒さと雪害に見舞われ、それに加えて年明けからは九州、霧島連山の新燃岳の噴火などがあり、自然災害が後を絶っておりません。

 また、海外でも年末から1月にかけ、ブラジルやオーストラリアなどで大規模な洪水に伴う被害が発生しています。このような国内外でのさまざまな災害で、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りし、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 さらに宮崎県で発生した口蹄(こうてい)疫や、各地で発生した鳥インフルエンザによって、大切に育ててきた家畜を処分せざるを得なかった方々の悲しみやそのための作業に従事された方々の労苦にも思いをいたしております。



国際社会においては北東アジアにおける情勢や、年末から今年に入ってからの中東地域での一連の動きなど、不安定で先行きが不透明な状況にあります。経済面でも依然として厳しい状況が続いており、日本においても、特に若い人たちが、就職難に直面していることには心が痛みます。

 こうしたことも影響してか、日本から海外へ留学する若者の数が減少するなど、若い世代に内向き志向が強まっていることも心配です。

 現在はインターネットの発達で、世界のさまざまなことがその場所に行かなくても、分かるようになってきましたが、世界のさまざまな場所に実際に自分たちで行って、自分たちの目で見て、そして、肌で感じ、さまざまな経験を積むことは何物にも代え難いと思います。また、若い人たちが一度、外から日本を眺めることも大切なことなのではないでしょうか。

 そうすることによって、今まで気が付かなかった日本の姿がわかってくるように思います。私自身英国に留学した際に経験したさまざまな事柄が、今日の私の貴重な財産となっており、若い世代のみなさんには世界のさまざまなことに関心を向け、広く世界に羽ばたいていただきたいと思います。

 高齢者については、ご質問にもありましたとおり、昨年所在不明問題が大きく取り上げられたこと、また猛暑のなかで熱中症で多くの方々が亡くなられたことなどが、強く印象に残っております。ご高齢の方々が、健やかに安心して暮らせる社会づくりが望まれます。



このような心配事が多い中で、昨年末から今年に入って、タイガーマスクの主人公を名乗る人からの善意のプレゼントが、全国各地で相次いだことは、一つの善意の表れでありますし、昨年のチリ鉱山での落盤事故における統率のとれた救出劇、救出への動きなどとともに心温まるニュースでありました。これらの出来事を通じて、人と人とのつながりが大事であり、お互いを思いやる心が大切であることを改めて感じました。

 今後とも困難な状況にある国民のみなさまに思いを寄せて参りたいと思います。

 私自身のこの一年間の、公の活動の中では、昨年3月のガーナ国、およびケニア国への訪問が印象に残っています。私にとってサハラ砂漠以南の、初めてのサブサハラのアフリカへの訪問となりましたが、アフリカには現在、さまざまな課題があることを感じた一方で、アフリカには今後、大きな可能性があるようにも思えてなりませんでした。と同時に、アフリカの人々の日本に対する、暑いまなざしもとても印象的でした。

 野口英世博士が取り組まれた黄熱病の研究を含む仕事は、現在でも現地で医療活動に当たっておられる方々や、青年海外協力隊をはじめとするみなさんが、引き継いでおられることを知って大変意を強くしました。また、アフリカのような乾燥地帯にあって、少ない水で栽培できる、「ねりか」と呼ばれる品種の米の普及や、潅漑(かんがい)施設の整備に日本人が深く関わっている現場も視察し、うれしく思いました。

会見の冒頭、私は自然災害のことをお話ししましたが、この一年、自然災害の脅威や災害後の復興において抱えるさまざまな問題について耳にするにつけ、水の問題への世界的な取り組みが大切であることを、あらためて感じることが多くありました。

 昨年12月まで続いた国連の水と衛生に関する諮問委員会名誉総裁の任期も国連事務総長からの要請により、来年末まで延長となりました。私としてはこれからもこの問題に関して、知見を深め、世界の水をめぐるさまざまな問題がよい方向に向かっていくように、私の立場でできる限りお役に立ちたいと思っております。

 50代最初の年となった昨年のこの場において、私は天皇陛下のお言葉を引用しつつ、過去の天皇が歩んでこられた道と、そしてまた、天皇は日本国、そして国民統合の象徴であるとの日本国憲法の規定に思いをいたして、国民と苦楽をともにしながら、国民の幸せを願い、象徴とはどうあるべきか、その望ましいあり方を求め続けたいとお話をいたしました。

 いまだ道半ばであり、両陛下のなさりようを拝見しつつ、引き続き研鑽(けんさん)を積んで参りたいと思います。

 最後に、英国ウィリアム王子のご結婚式への招待については、いまだ英国王室からの招待状が届いておりませんので、今の段階で私の方からお話しすることは控えたいと思います。招待状をいただきました際には、まず政府内部で検討がなされるものと思います。



【問2】

 長女の愛子さまが通学への不安を訴えられ、学習院初等科に通常の登校ができない状態となってから、まもなく1年となります。雅子さまの付き添いの下、時限を限って出席する日々が続いており、天皇、皇后両陛下も案じるお気持ちを示されました。天皇陛下は「愛子と会う機会も限られ、残念ですが、交流としてお話しできるようなことはまだありません」と述べられたほか、愛子さまの不安の原因について宮内庁と学習院の当初の説明が食い違い、真相がはっきりしていないこともあり、多くの国民が心配しています。このような状況を踏まえて、愛子さまの現在のご様子をお聞かせください。父親として愛子さまをどのように見守り、お一人で通学できるようになるためには何が必要と考えられていますか。

 

皇太子殿下 

 愛子の学校のことも、もうすぐ1年がたとうとしています。この問題では、これまで天皇、皇后両陛下をはじめ、多くの国民のみなさまに、お気遣いをいただいておりますが、温かくお見守りいただいてきたことに、この場をお借りして、感謝申し上げたいと思います。

 この1年近く、親として、愛子のために何をしてあげられるのかという思いで、雅子とともに考え、歩んできました。愛子は学校で怖い思いや、つらい体験をしましたが、それを乗り越えようと、前向きに頑張ってきており、私たち親としても、精いっぱい支えてあげたいと思ってここまで来ております。

 学校の先生方とご相談をしながら、雅子の付き添いのもとでの登校という形が現在も続いておりますが、幸い、愛子が学校で過ごす時間もずいぶんと長くなっており、運動会、初等科祭、校外学習など、そういった行事にも元気に参加するなど、よい方向に向かってきていると思います。

 ご質問にあった「今後何が必要か」との点については、本人の気持ちを大切にしながら、学校の理解と協力をお願いしつつ、周りの助けも借りながら、元の状況に戻れるよう、環境づくりを引き続き行っていくということが、必要であると考えております。

 愛子が静かな環境での通学が可能なように、引き続き静かに見守っていただければ幸いです。


【問3】

 雅子さまの病気療養も8年目に入りました。この1年も、雅子さまは地方行啓など外出を伴った公務にほとんど出席できない状態が続いています。昨年、東宮職医師団は「いまなお心身の状態の波は続いている」との見解を示した上で、愛子さまの通学に付き添い、多くの時間とエネルギーを注いでいるために、公務などの活動は限られたものにならざるを得ないとも指摘しました。愛子さまの通学への付き添いが長期化していることや、日々の公務への出席機会が少ない現状についてどのようにお考えでしょうか。雅子さまの現在のご様子と、海外訪問を含めた今後の公務への出席の見通しをお聞かせください。

 

皇太子殿下 

 雅子の病気治療は長期にわたっておりますが、東宮職医師団見解にありますように、その間、長い目でみますと着実に回復にむかっており、公務についても昨年の阪神淡路大震災15周年追悼式典出席のための兵庫県への訪問や、それ以前も神奈川県、長野県、徳島県への訪問、また都内での公務出席など限られた形であってもできるだけの努力をしてきているのが事実であり、このことは皆さんもよくご承知のことと思います。

 皆さんからのご質問に関してですが、昨年2月の東宮職医師団見解において、

「患者さんが治療に取り組みそれが実を結びつつあるときにはできていないことではなく、小さなことでも、できたこと、あるいは努力していることが認めてもらえるような安心できる温かい環境が不可欠です。妃殿下の治療に関してもぜひその点を皆さまにご理解いただければと考えます」と指摘されております。


報道関係の皆様にはこの点につき、よりいっそうのご理解とご配慮をいただけますよう、あらためてお願いしたいと思います。

 そのことを申し上げた上で、ここ1年ほどは愛子の通学への付き添いを含めて、愛子が元通りの通学に戻るために母親として可能な限りの努力を払ってきているのが現状であり、私自身そばで見ていて、大変だと思いますし、雅子自身の体調が万全でない中で、毎日本当によく頑張っていると思います。

 そのため公務などの活動は限られたものとならざるを得ない状況にあり、東宮職医師団もこの点を指摘の上で皆さんの理解をお願いしているわけです。

 雅子の並々ならぬ努力を身近に見ている私としても、国民の皆様がこのような状況をご理解の上で、温かく見守っていただきますことをお願いしたいと思います。

 

【問4】

 天皇陛下は、昨年の誕生日会見で「耳がやや遠くなり、周囲の人には私に話をするときには少し大きな声で話してくれるように頼んでいます」と語られ、皇后さまも「加齢によるものらしい現象もよくあり、自分でもおかしがったり、少し心細がったりしています」とつづられ、老いに対する率直な心境を明らかにされました。こうした言葉に対するご感想とともに、高齢でありながら多忙な公務をされている両陛下をどのように支えていかれるか、考えをお聞かせください。

 

皇太子殿下 

 両陛下がご高齢になられたことについての、両陛下ご自身のご発言や、この度の東大病院でのご検査の結果で、天皇陛下の心臓冠動脈の問題が発見され、治療にあたられることとなりましたことを、心からご案じ申し上げております。

かつてお話ししました通り、皇太子として両陛下をお助けしなければならないと考えておりますが、両陛下のご公務のあり方については、宮内庁内部でも検討がなされているように、ご公務の内容を考慮することによって、両陛下に過度の負担がかからないようにとの配慮が重要であると思います。

 しかし同時に、このことは、天皇陛下として、なさるべきことを心から大切にお考えになっていらっしゃる陛下のお気持ちに沿って、進めるべきであると考えます。何よりも、両陛下が今後ともご自愛の上で、ご健勝でいらっしゃることを心からお祈りしております。

 

【問5】

 殿下は昨年の記者会見で「過去からさまざまなことを学びながら、将来の皇室のあり方を追い求めていきたい」と述べられ、秋篠宮さまも昨年の誕生日会見で兄弟間での話し合いを何度か持たれていると明かされました。殿下は雅子さまが病気療養に入られて以来、お一人で地方行啓など数多くの公務を務められていますが、秋篠宮さまと目指す将来の皇室とはどのようなものなのか、皇太子ご夫妻の将来的な公務のあり方も含めて具体的にお聞かせください。

 

皇太子殿下 

 私はかつて、時代の流れに沿って、公務のニーズについても、おのずと新しい考えが生まれてくるので、そういった時代の変化に応じ、社会の新しい要請に応える形で、公務を考えていくことが大切であると申しました。今でもその思いは変わりません。

昨年、私は関心ある分野として水の問題や環境問題、子どもと高齢者に関する事柄などを指摘しましたが、これらの分野に限らず、新たな公務に対する社会の要請は出てくると思いますので、これらの公務に真摯(しんし)に取り組んで参りたいと思っています。

 秋篠宮とは、さまざまな事柄について話し合う機会がありますし、今後ともそのような機会を持っていきたいと思います。

 

【関連質問1問目】

 皇室とも大変縁が深く、愛子さまも大好きでいらした大相撲が、いま八百長問題で大揺れです。いつ本場所が開かれるかわからないような状態で、大変な混乱状態なんですが、この問題に関して何かご感想があればお聞かせください。

 

皇太子殿下 

 私自身も、大相撲を雅子、それから愛子と一緒に観戦したこともありますし、今までも、今の両陛下とご一緒に小さいころ観戦したことも幾度もあります。それだけに、大相撲の今の状況は私自身も心配しております。いろいろな問題は多いと思いますけれども、こういった難しい中で、大相撲がまた国技としてそして今後とも人々に親しまれるような形で、この問題が解決されるということを私自身心から願っています。

 

【関連質問2問目】

 2番目の愛子さまに対するお答えで、殿下は愛子さまの今後の学校生活に対して環境づくりが大切ではないかとおっしゃいましたが、具体的にどのような環境をこれから考えられているのかをお聞かせいただけますでしょうか。

 

皇太子殿下 

 この点については今までも学校側ともいろいろご相談しながら、いろいろとこう考えて、対応してきたところでありますので、その具体的な内容については、学校との関係もありますので、この場ではちょっと発言を控えたいと思います。(完)




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      51歳の誕生日を前に記者会見される皇太子さま=21日、東京・元赤坂の東宮御所



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       お住まいの東宮御所でくつろがれる皇太子ご一家=13日(宮内庁提供)











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