【探訪】ミクロネシア連邦「トラック諸島」
日米開戦から70年
環礁に広がる深く濃く青い海。強い日差しが降り注ぐ海底には翼を広げた機体が眠っていた。
ミクロネシア連邦・チューク諸島。本紙連載中の小説「ダン吉」の舞台になったこの地は「トラック諸島」と呼ばれ、日本と深い歴史を持つ。第一次大戦後から日本の委任統治領となり、現在も多くの日本語が現地語として残っている。
環礁の地形から太平洋戦争時には連合艦隊の錨地(びょうち)として軍事的役割を担った。昭和19(1944)年2月17、18の2日間にわたる米軍の空襲で、日本軍は壊滅的被害を受ける。トラック環礁の内外に沈んだ船の数は100隻にも及んだ。
時が流れ、今はダイバーあこがれの地。青い海はダイビングに最適だが、複雑な気持ちにもなった。それは英霊たちが眠っているからだろうか。今年で日米開戦から70年が経つ。(写真報道局 大西正純)
ダイバーの間で「ベティ」の愛称で知られる一式陸上攻撃機。装甲が薄く、機銃一発で火を吹くことから米軍に「ライター」と呼ばれていたという=ミクロネシア・トラック諸島