馬英九政権発足以来最大規模。
【台北=山本勲】台湾国防部が18日、南部の屏東県にある九鵬基地で陸海空3軍の合同ミサイル演習を行い、一部内外メディアに公開した。馬英九政権発足以来、最大規模の演習で馬総統も観閲した。台湾では米先進兵器導入の遅れや、11日の中国次世代ステルス戦闘機「殲(せん)20」の初試験飛行などで、防衛への危機感が強まっている。胡錦濤中国国家主席の訪米直前というタイミングで公開軍事演習を行い、米国が台湾問題で譲歩しないよう牽制(けんせい)し、あわせて先進兵器売却を働きかけた形だ。
今回の演習では、中国人民解放軍のスホイ27、同30などの高性能戦闘機が台湾海峡の中間線を越えて侵攻した事態を想定、3軍が保有する地対空、空対空の遠・中・短距離ミサイルを総動員して撃墜することをめざした。
発射したミサイルは地対空では台湾が自主開発した「天弓2型(射程200キロ)」をはじめ、地上発射型「麻雀(同40キロ)」、「鷹式(米ホーク、同20~40キロ)」、「刺針(米スティンガー、同5キロ)など。空対空では空中発射型「麻雀」「雲母」「天剣」などで、計19発のミサイルを発射、13発が標的(無人飛行機や照明弾)を撃墜した。
一部ミサイルが標的に命中しなかったことで防衛力の弱さを露呈する結果になったともいえる。
台湾は中国軍の「殲20」の試験飛行に大きな衝撃を受けている。昨年末から中国系ネットを通じて関連情報が流れ始めたが、国防部当局者は直前までその可能性を明確に否定していたからだ。
試験飛行後は一転して、中国が「ステルス機能を備えたミサイルを開発する脅威」(李貴発元空軍副司令)への危機感が軍関係者に強まっている。
台湾を射程に収めた中国のミサイルが1400基とも、それ以上ともみられているだけに脅威は深刻だ。ミサイル演習を公開したのは異例で、馬英九政権が防衛に力を入れる姿勢を内外に示す狙いもありそうだ。
馬総統は17日、訪台した米シンクタンクAEIのアーサー・ブルックス会長と会見し、米国が懸案の最新型F16戦闘機を売却するよう強い希望を表明した。
18日、台湾屏東県の九鵬基地で実施された地対空ミサイルの演習(AP)
18日、台湾屏東県の九鵬基地から発射された地対空ミサイル(AP=共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110118/chn11011818350025-n1.htm