天皇陛下のお忙しい元日…行事18件
愛子さまの養育専任ポストは“廃止”
世間では経済活動などが停止し、のんびりムードとなる正月だが、天皇陛下は今年も7日まで休みはなく、忙しく皇居で行事に臨まれた。幸い、今年は都内では概ねお天気に恵まれた。
新年最初の行事は朝5時半から皇居・神嘉殿で行われた「四方拝 の儀」。「早朝に天皇陛下が伊勢の神宮、山陵および四方の神々をご遙拝になる」(宮内庁)もので、続いて5時45分からは、宮中三殿で「年始の祭典」(同)となる「歳旦祭の儀」に臨み、午前9時すぎからは次々と皇族方、宮内庁関係者、 や国会議員らから祝賀を受けられた。元日に陛下が出席された行事は、宮内庁発表分だけで、午後2時半までに計18件に及んだ。
2日には皇居・宮殿で新年一般参賀が行われた。今年の人出は7万7110人。昨年より約2000人少なかったが、宮内庁の風岡典之次長は4日の定例記者会見で「一般参賀が(7回から)5回になった平成21年以降、3年続けて8万に届かんとする多くの方においで頂いた。非常に高い水準の数字じゃないかと思う」と話した。
初回は天皇、皇后両陛下、皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻、常陸宮ご夫妻、三笠宮ご夫妻、寛仁親王殿下の長女の彬子さま、高円宮妃久子さま、長女の承子さま、次女の典子さま、三女の絢子さまの計15方が長和殿のベランダに立たれた。昨年20歳を迎えた絢子さまは成年皇族として初めて一般参賀に臨まれた。
皇太子妃雅子さまは当初、午後の2回については出席は未定としていたが、3年連続ですべての回に姿をお見せになった。
参賀を華やかに彩ったのは、女性皇族方のご服装。陛下や男性皇族方がみなモーニングコートなのに対し、女性皇族方は色とりどりの洋服をお召しになった。それぞれのお色について紹介しよう。
皇后さま(あけびの花の色)▽雅子さま(水色)▽秋篠宮妃紀子さま(明るいベージュ)▽常陸宮妃華子さま(クリーム色)▽三笠宮妃百合子さま(マリンブルー)▽彬子さま(青色)▽久子さま(藤色)▽承子さま(サーモンピンク色)▽典子さま(赤色)▽絢子さま(クリーム色)
3日には皇居・宮中三殿で元始祭の儀があり、両陛下、皇太子さま、秋篠宮ご夫妻、華子さま、寛仁さまと次女の瑶子さま、久子さま、承子さま、典子さま、絢子さまが拝礼された。
また昭和天皇の崩御から22年となる7日、皇居・皇霊殿で昭和天皇祭皇霊殿の儀が行われ、両陛下、皇太子さま、秋篠宮ご夫妻、彬子さま、久子さまが拝礼された。また常陸宮ご夫妻は東京都八王子市の武蔵野陵(むさしののみささぎ)で、昭和天皇祭山陵に奉幣の儀に臨まれた。秋篠宮ご夫妻は皇霊殿の儀に臨んだ後、武蔵野陵を訪れ参拝された。
両陛下は6日、皇居・東御苑の三の丸尚蔵館で展覧会「近代の洋画家、創作の眼差し」をご覧になった。
菅原道真が梅林の中で句を詠む様子を描いた作品の前で、皇后さまは「これはまだ太宰府に行く前の?」と質問されていた。
さて、今週も皇室の正月行事をご紹介したい。昭和天皇に仕えた故入江相政元侍従長が編者となった「宮中歳時記」(TBSブリタニカ)によると、昭和時代には皇室独特の慣習があったようだ。今回はかるた遊びについて触れてみよう。
本には香淳皇后が小倉百人一首が得意で女官などを相手に楽しんでいたことや、皇太子・同妃時代の両陛下が、東宮御所で毎年正月、皇太子さまや秋篠宮さま、黒田清子さん、職員を交えて、トーナメント方式の大会をされていたことが記されている。
中でも吹上御所では小倉百人一首より「お能かるた」が盛んだったという記述が特徴的だ。本によると、お能かるたは皇室オリジナルで、市販されていないもの。このかるたが作られた明治時代、皇室の教育は厳しく、恋愛歌の多い小倉百人一首は好ましくないということから、能が選ばれたという。御歌所の寄人(よりうど)をしていた坂正臣という人が一枚一枚、能楽の題名を札に書いて作ったそうだ。
遊び方は単純で、読み手が例えば「らしょうもん」と読み上げると、「羅生門」と書かれた札を取る。皇族方にもそれぞれ得意な札があったといい、昭和天皇は「皇帝」という札を得意としていたそうだ。
この本が出版されたのは昭和54年のこと。お能かるたの伝統は平成の皇室にも伝わっているのだろうか。側近は「現在も『お能かるた』をしているとは聞いていないが、ご家族の間では、もしかしたら、続けられているのかもしれない」と話していた。
宮内庁東宮職 の野村一成 東宮大夫は7日の定例会見で、皇太子ご夫妻の長女、敬宮(としのみや)愛子さまの「養育専任東宮女官 」を昨年12月27日付で退官した小山久子さんの後任の女官を、小山さんと同様の養育専任 とはしない考えを明らかにした。
野村氏は、元学習院幼稚園園長の小山氏が、健康上の理由で辞めたことを改めて説明。代わりとなる「通常の女官」を人選中とした。
養育専任東宮女官 のポストを「廃止」する理由については「彼女は専任女官ということで採用しましたし、やっていただいたんですが、『もういいでしょう』という感じです。宮様のご成長もございますし、全体でしっかりとお支えするというほうがいいという判断です。侍従もしっかりとお支えをしておるわけで、東宮職という組織全体で対応することになります」と説明した。
各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。
秋篠宮さまは5日、山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)で所員会議に出席された。
寛仁さまは5日、65歳の誕生日を迎えられた。
高円宮妃久子さまは1日、国立霞ケ丘競技場(東京都新宿区)で「第90回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝戦」を観戦された。