選抜クラスの細野です。
先日、現役の音響監督としてご活躍されている方にお越しいただき、特別授業を行っていただきました。
その様子や感想をお話ししたいと思います。
授業内容は、アニメのアフレコ実習。プロの現場と同じくテスト、ディレクション、本番の流れで進んで行きました。
事前に配役を決めていたこともあり、開始後すぐにマイク前へ。プロの現場はこんなに早く進んでいくのだと、痛感する間もなくアフレコがスタート。
テストが終わり、どのような感想をいただけるか緊張の瞬間が訪れます…。
「面白くない」
厳しい口調とかでは決してなかったのですが、客観的な事実として告げられたその言葉に、私は強い危機感を覚えました。このままではプロになれないと現実を突きつけられた気がしたからです。
その後、この問題を解決するために
「キャラではなく芝居を優先すること」
「バンク(知識量・経験)を増やすこと」
という2つの考え方をご教授いただきました。
①「キャラではなく芝居を優先すること」
これは養成所生に限らず、新人声優でもキャラクターを作ることを優先して、芝居が疎かになっている現状があるそうです。
「キャラ」をベースに演技をしている人は、自分が決めたキャラの範囲内に収まってしまうため、どうしても表現が小さくなってしまいます。キャスティングされたらまず、自分だったらどうするかを考え、「芝居」をベースに構成してから、アニメや外画それぞれの表現方法に合わせていくことが大切だと教えていただきました。
②「バンク(知識量・経験)を増やすこと」
バンクが不足していると、多角的に考えることができず、一辺倒の表現しかできなくなるそうです。なんとなくの演技ではなく、はっきりと意図のある表現にするためには、様々な作品に常日頃から触れて知識量を増やしておくことが大切だと教えていただきました。
1回目のテストの際、私はサイコパスな上官を演じたのですが、終始サイコパスな「キャラ」に縛られて、意図のない演技になってしまいました。
そこで本番では、上官としての威厳とサイコパスな部分のギャップを意識しつつ、セリフ1つ1つの意図を考えて演じるように心がけました。クラスメイトのアイデアなどを取り入れて色々なアプローチを試してみると、今までとは違った新しい感覚で演じることができました。
その後の授業で森川先生が「特別授業をきっかけとして『気づき』を得て欲しい。それに気づいた瞬間自身のやるべきことが見えてくる。」と仰っていました。
言葉にするのがとても難しいのですが、本番の時に感じたあの感覚が自分にとっての「気づき」だったのだと思います。
また、それと同時に、沢山の課題と現実に向き合う必要があると痛感しました…。
今回の特別授業を経て、プロに求められている芝居への向き合い方、考え方を体感することができました。
そして、所属審査まで残り数ヶ月…。
限られた時間の中ではありますが、今回明確になった課題を一つ一つ解決して、プロの現場に出ても堂々と表現できるように日々精進していきます!
選抜クラス 細野